**ずん
** 「はかせー!東大の先生が『信長の野望』やってたって話、マジで面白すぎるのだ!研究者が遊んでていいのだ?」
**でぇじょうぶ博士
** 「むしろ遊んでないと研究できないでやんす。30年ぶりにプレイしたら進化しすぎてて、『これあったら研究者にならなかったかも』って言ってるでやんす。」
**やきう
** 「ファッ!?プロが素人ツールに負け認めとるやんけ。それ研究の意味あるんか?」
**でぇじょうぶ博士
** 「それが面白いところでやんす。ゲームの進化が、実は戦国時代研究の進化を反映してるんでやんすよ。昔は戦闘ばっかりだったのが、今は内政や調略が重要になってるでやんす。」
**ずん
** 「へー。つまりゲーム会社が勝手に面白くしただけじゃないのだ?」
**でぇじょうぶ博士
** 「違うでやんす。実際の戦国時代も、戦だけじゃなく外交や内政が超重要だったという研究成果がゲームに反映されてるんでやんす。まるで学会とゲーム業界が密約を交わしたかのようでやんすね。」
**やきう
** 「ほーん。で、その先生は何の仕事しとるんや?」
**でぇじょうぶ博士
** 「『大日本史料』という化け物プロジェクトの編纂でやんす。1901年から続いてて、先生は27年かけてたった1年2ヶ月分しか進んでないでやんす。」
**ずん
** 「えっ...27年で1年ちょっと...?それ、ボクが生きてる間に終わらないやつなのだ...」
**やきう
** 「ワイの人生より長いプロジェクトとか草も生えんわ。しかも生きてる間に終わらんって本人が言うとるやんけ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「そうでやんす。完結したのは137年間で2編だけ。金子先生の担当部分は折り返し地点でやんす。つまり、あと30年以上かかる計算でやんす。」
**ずん
** 「じゃあ誰が完成させるのだ?先生の孫の孫くらいなのだ?」
**でぇじょうぶ博士
** 「いや、血縁じゃなくて研究者の系譜でやんす。バトンタッチし続けるマラソンみたいなもんでやんすね。しかも江戸時代以降は史料が多すぎて着手すらされてないでやんす。」
**やきう
** 「つまり永遠に終わらんってことやろ。それ意味あるんか?税金の無駄遣いちゃうん?」
**でぇじょうぶ博士
** 「いい質問でやんす。でもこれがないと、『信長の野望』も作れないんでやんすよ。桶狭間も関ヶ原も、全部この史料集に入ってるでやんす。」
**ずん
** 「あー!つまり、ゲーム会社はこの地味な作業にタダ乗りしてるってことなのだ?」
**でぇじょうぶ博士
** 「タダ乗りというか...まあ、そうでやんすね。金子先生も『歴史ゲームも大日本史料あってのもの』って言ってるでやんす。願望込みで、でやんすが。」
**やきう
** 「願望込みって自覚しとるんかいな。でも確かに、この地道な作業なかったらゲームのパラメータも適当になるわな。」
**ずん
** 「でもさー、ゲームで歴史学ぶ若者をどう学問に導くかって悩んでるらしいけど、むしろ無理なんじゃないのだ?ゲームのほうが圧倒的に楽しいのだ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「それが先生の危機感でやんすね。『20代の頃にこれがあったら研究の道に進まなかったかも』って言ってるでやんす。ゲームが進化しすぎて、研究者の存在意義が脅かされてるでやんす。」
**やきう
** 「せやけど、ゲームに出てくる無名武将とか、専門家しか知らん人も入っとるんやろ?そういう細かいとこは研究者の仕事やん。」
**でぇじょうぶ博士
** 「その通りでやんす。清須城の治安低下で攻撃したら陥落したとか、めちゃくちゃリアルでやんす。これ全部、地道な史料研究の成果でやんすよ。」
**ずん
** 「じゃあ結局、研究者とゲーム会社は持ちつ持たれつなのだ。でもさ、研究者が『ゲームで十分かも』って思っちゃうのヤバくないのだ?」
**やきう
** 「そら自分の仕事を否定しとるようなもんやからな。でも正直でええと思うわ。ワイも仕事の意味とか常に疑っとるし。」
**でぇじょうぶ博士
** 「いや、やきうは仕事してないでやんす。」
**ずん
** 「ところではかせ、この『大日本史料』って何巻まで出てるのだ?」
**でぇじょうぶ博士
** 「金子先生の担当部分だけで31冊でやんす。全体だともっとでやんす。1冊約2ヶ月分の史料でやんす。」
**やきう
** 「2ヶ月で1冊...?1年で6冊ペース...?いや待て、3年で1冊って言うてたやんけ!どういうことや!」
**でぇじょうぶ博士
** 「1冊が『約2ヶ月分の出来事を記録したもの』なんでやんす。でも編纂に3年かかるんでやんす。つまり2ヶ月分を3年かけてまとめてるでやんす。」
**ずん
** 「効率悪すぎなのだ!AIに任せればいいのだ!」
**でぇじょうぶ博士
** 「むむむ、それができればとっくにやってるでやんす。古文書の解読、裏取り、注釈...全部人間の目と脳が必要でやんす。AIには『この史料は怪しい』という嗅覚がないでやんす。」
**やきう
** 「ていうか、江戸時代以降は史料多すぎて着手すらしてへんって、それ永遠に終わらんやんけ。計画破綻しとるやろ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「破綻というより、最初から無理ゲーだと分かってるでやんす。でもやるんでやんす。なぜなら、誰かがやらないと歴史が埋もれるからでやんす。」
**ずん
** 「カッコつけてるけど、要するに公務員の永久就職プログラムなのだ!」
**やきう
** 「そういう見方もできるな。でも、137年続いとるプロジェクトって、ある意味日本の底力やと思うわ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「まさにでやんす。明治から令和まで、戦争も震災も乗り越えて続いてるでやんす。こういう地味な継続が文化を支えてるんでやんすよ。」
**ずん
** 「でもさー、金子先生は『ゲームの背後にある百数十年の地道な編纂作業に思いを馳せてほしい』って言ってるけど、誰も気づかないのだ。」
**やきう
** 「せやな。ワイも『信長の野望』やっとったけど、裏で東大の先生が死ぬほど地味な作業しとるなんて知らんかったわ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「それが研究者の宿命でやんす。誰も気づかない土台を作る仕事でやんす。でも、その土台がないとゲームも小説も映画も成り立たないでやんす。」
**ずん
** 「じゃあ、ボクらはゲームやるたびに東大に感謝しなきゃいけないのだ?めんどくさいのだ。」
**やきう
** 「感謝せんでええけど、知っとくべきやとは思うわ。じゃないと、研究者おらんくなって、最終的にゲームの質も下がるやろ。」
**でぇじょうぶ博士
** 「その通りでやんす。金子先生が危惧してるのはまさにそこでやんす。ゲームが進化しすぎて、若者が研究の道に来なくなることでやんす。」
**ずん
** 「でも正直、27年かけて1年ちょっとしか進まない仕事とか、ボク絶対やりたくないのだ。」
**やきう
** 「ワイもや。っていうか、お前は27年も一つの仕事続けられへんやろ。」
**ずん
** 「...それもそうなのだ。じゃあやっぱり、ボクはゲームやってる側でいいのだ!研究者の皆さん、頑張ってくださいなのだ!」