ずん
「クローゼットに閉じこもるって、ボクの引きこもり生活が肯定された気がするのだ!これは時代が追いついてきたのだ!」
でぇじょうぶ博士
「それは全然違うでやんす。彼女は暴力から逃れるための一時的な避難場所として使っていたんでやんす。ずんのは単なる現実逃避でやんすよ。」
やきう
「ワイもクローゼット入っとるで。ただしワイの場合は配信用の防音室やけどな。」
ずん
「えっ、配信...?ニートなのに配信してるのだ?」
やきう
「うるさいわ。ワイはVtuberとして月収50万稼いどるんやで。お前みたいな自称エリートより稼いどるわ。」
でぇじょうぶ博士
「まあまあ。この映画は1980年代の台湾を舞台に、家庭内暴力と貧困に苦しむ少女の物語でやんす。スー・チー監督自身の経験が基になっているんでやんすよ。」
ずん
「10年以上かけて脚本を書いたって...ボク、10年後も今と同じ生活してそうで怖いのだ。」
やきう
「当たり前やろ。お前は何も変わらんで。ところで博士、この監督って有名なん?」
でぇじょうぶ博士
「スー・チーは国際的に活躍する女優でやんす。ホウ・シャオシェンという台湾ニューシネマの巨匠の影響を受けているんでやんすね。初監督作でヴェネツィアのコンペに選ばれて、釜山で監督賞を獲るなんて、まるでデビュー戦でノーヒットノーランを達成した大谷翔平みたいなもんでやんす。」
ずん
「へー。でもボクは家庭内暴力とか経験ないから共感できないのだ。」
やきう
「お前みたいな温室育ちには分からんやろな。世の中にはマジで地獄みたいな家庭があるんやで。」
でぇじょうぶ博士
「実はこういう虐待を題材にした作品は、社会の暗部を可視化する重要な役割があるんでやんす。日本でも児童虐待の相談対応件数は年間20万件を超えているでやんすからね。」
やきう
「そらそうよ。お前の周りの平和な世界だけが全てちゃうんやで。クソみたいな親なんて腐るほどおるわ。」
でぇじょうぶ博士
「ちなみにこの映画では、主人公が転校生のリリーという友達と出会うことで希望を見出していくんでやんす。暗い現実の中にも、人との繋がりが救いになるという普遍的なテーマでやんすね。」
ずん
「友達かぁ...ボクにも友達いるのだ!LINEで既読無視されてるけど!」
やきう
「それ友達ちゃうやろ。ブロックされとるだけや。」
でぇじょうぶ博士
「面白いのは、スー・チー監督が自分では出演せずに監督に専念したことでやんす。俳優から監督への転身は、野球選手が引退後に監督になるようなもんでやんすが、彼女はまだ俳優としても現役バリバリなんでやんす。それでも自分の物語を客観的に描くために、カメラの向こう側に立つことを選んだんでやんすね。」
ずん
「なるほど...つまり自分の辛い過去を映画にしたってことなのだ?それってメンタル強すぎないのだ?」
やきう
「お前には一生理解できんやろな。トラウマを芸術に昇華するっちゅうのは、クリエイターの特権やで。」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんす。実際、多くの名作は作家の個人的な痛みから生まれているでやんす。『誰も知らない』の是枝裕和監督も実際の事件を基にしたでやんすし、『万引き家族』も社会の底辺で生きる人々への眼差しがあったでやんす。」
ずん
「じゃあボクも自分の辛い経験を映画にすれば賞が取れるのだ!題材は...うーん...コンビニでおにぎり温めますか聞かれて断れなかった話とか...」
やきう
「それただのコミュ障エピソードやんけ。誰が見るねん。」
でぇじょうぶ博士
「まあまあ。ただ、この映画が評価されているのは単に重いテーマだからではなく、12歳の少女の視点で描かれた青春のきらめきも同時に表現しているからなんでやんす。絶望の中にも美しさを見出す...それこそが芸術の力でやんすね。」
ずん
「青春のきらめき...ボクの青春は既に終わってしまったのだ...」
やきう
「いや、お前の青春はそもそも始まってすらないやろ。」
でぇじょうぶ博士
「ちなみに1980年代の台湾は経済成長の裏で、貧富の差が拡大していた時代でやんす。まさに光と影が交錯する時代背景が、この物語に深みを与えているんでやんすね。」
ずん
「難しい話になってきたのだ...ボク、クローゼットに閉じこもって配信でも始めようかな...」
やきう
「お前みたいな中身空っぽの奴が配信しても誰も見んわ。ワイみたいに尖った個性が必要なんやで。」
でぇじょうぶ博士
「結局のところ、この映画は『どんな環境に生まれても、人は希望を見つけられる』というメッセージなんでやんす。クローゼットは避難場所であって、そこに永住する場所じゃないんでやんすよ。」
ずん
「でもボク、クローゼットの中めっちゃ快適に改造しちゃったのだ...LED照明とミニ冷蔵庫完備なのだ!」