**ずん
「エヴァって結局何がすごかったのだ?ロボットアニメなんて昔からあったじゃないか」**
**でぇじょうぶ博士
「それは違うでやんす。エヴァはロボットアニメの皮を被った精神分析セラピーでやんす。視聴者は巨大ロボバトルを期待して見始めたら、いつの間にか自分の内面と向き合わされるという罠にハマったでやんす」**
**やきう
「罠って…ワイらは騙されてたってことかいな。詐欺やんけ」**
**でぇじょうぶ博士
「まさにそこがポイントでやんす。庵野監督は意図的にジャンルの約束事を裏切り、『お前らが求めてるのはこれじゃないだろ?』と問いかけたでやんす。これは革命的な手法でやんした」**
**ずん
「でも最終回、みんな怒ってたって書いてあるのだ。失敗じゃないのか?」**
**やきう
「せやな。ワイも当時リアタイで見とったけど、『おめでとう』連呼で終わった時は画面に向かって『ふざけんな』って叫んだわ」**
**でぇじょうぶ博士
「その怒りこそが作品の一部になったでやんす。劇場版ではファンの批判すら取り込んで、『お前らが求める答えなんてないんでやんすよ』というメッセージを突きつけたでやんす。これはメタ批評の極致でやんす」**
**ずん
「うーん、でもそれって単に予算不足で適当に終わらせただけじゃないのだ?」**
**やきう
「それな。美化しすぎちゃうか?ただの制作崩壊やろ」**
**でぇじょうぶ博士
「確かに予算問題はあったでやんす。でも庵野監督はその制約を逆手に取って、止め絵と抽象的演出で心理描写に特化したでやんす。これは『貧乏が芸術を生む』という好例でやんす」**
**ずん
「じゃあ、エヴァが日本社会の鏡だったって話は本当なのだ?」**
**でぇじょうぶ博士
「やんす。バブル崩壊後の日本は、経済成長という目標を失い、アイデンティティー危機に陥ったでやんす。シンジが自分の居場所を探す姿は、まさに当時の日本そのものでやんした」**
**やきう
「でも今の日本も変わってへんやん。30年経っても同じこと言うとるで」**
**でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんす。だからこそエヴァは今も響くでやんす。日本社会は未だに『自立した未来』を描けず、過去の栄光にしがみついているでやんす。エヴァは30年前の問題提起が、今も未解決であることを証明してるでやんす」**
**ずん
「でも新劇場版は希望のある終わり方だったんでしょ?それって矛盾してないのだ?」**
**やきう
「ワイもそう思うわ。結局、庵野も丸くなったってことやろ」**
**でぇじょうぶ博士
「それは表層的な見方でやんす。新劇場版の希望的な結末は、『オタク文化への依存から脱却せよ』というメッセージでやんす。庵野監督は自分が生み出した文化の負の側面に責任を感じ、ファンに『現実を生きろ』と告げたでやんす」**
**ずん
「つまり、エヴァを卒業しろってことなのだ?」**
**やきう
「そんなん言われたら、パチンコやコラボ商品買ってる奴ら全員馬鹿やんけ」**
**でぇじょうぶ博士
「そこが最大の皮肉でやんす。エヴァはオタク文化を批判しながら、同時にその文化の象徴として商業的に大成功したでやんす。これは資本主義の矛盾を体現してるでやんす」**
**ずん
「じゃあ結局、エヴァって何だったのだ?アートなのか商品なのか?」**
**でぇじょうぶ博士
「両方でやんす。そして、その両立こそがエヴァの真の革新性でやんす。芸術と商業、批評と娯楽の境界を曖昧にし、視聴者に思考を強いる。これが『ブレードランナー』がSFにもたらした変革と同じでやんす」**
**やきう
「でも今のアニメ、そんな作品ないやん。みんな萌えと爆発ばっかりや」**
**でぇじょうぶ博士
「それは正しくもあり、間違ってもいるでやんす。確かにエヴァ級の衝撃作は稀でやんすが、『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』など、社会的テーマを扱う作品は増えてるでやんす」**
**ずん
「でも鬼滅とエヴァじゃ全然違うのだ。鬼滅は分かりやすいし」**
**やきう
「せやな。鬼滅は家族の絆とか努力とか、王道やもん。エヴァみたいに視聴者を突き放さへん」**
**でぇじょうぶ博士
「まさにそこが時代の変化でやんす。90年代は不安と混乱の時代だったから、エヴァの暗さが刺さったでやんす。今は多様性の時代でやんすから、万人受けする作品が求められるでやんす」**
**ずん
「じゃあもうエヴァみたいな作品は生まれないのだ?」**
**でぇじょうぶ博士
「難しいでやんすね。アニメが世界的メインカルチャーになった今、エヴァのようにニッチでエッジの効いた作品を作るのはリスクが高いでやんす。でも、いつか新たな革命者が現れるかもしれないでやんす」**
**やきう
「革命者ねぇ…。でも庵野みたいに鬱になるまで作品作るとか、ブラック企業以下やん」**
**でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。エヴァの成功は、庵野監督の精神的犠牲の上に成り立ってるでやんす。これは創作の暗部でやんすが、同時に作品に真実味を与えた要因でもあるでやんす」**
**ずん
「なんか複雑なのだ…。結局、エヴァを楽しむには何を知ってればいいのだ?」**
**やきう
「ワイに言わせりゃ、何も考えんとロボバトル楽しむのが一番や。深読みするから訳わからんくなるんやで」**
**でぇじょうぶ博士
「それも一つの正解でやんす。エヴァの素晴らしさは、浅く楽しむことも、深く考察することもできる多層性にあるでやんす。視聴者それぞれが自分なりの答えを見つければいいでやんす」**
**ずん
「じゃあボクは浅く楽しむのだ!アスカ可愛いってだけで十分なのだ!」**
**やきう
「お前、そういうとこやぞ。成長せえへんのは」**
**ずん
「うるさいのだ!ボクは30年経っても変わらない日本社会の縮図なのだ!」**