ずん
「PR数で評価するとか、もはや現代の錬金術なのだ!数字いじれば金が生まれると思ってる経営者、全員小学校からやり直すべきなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「やれやれ...Kent Beck氏の講演は、まさにソフトウェア開発における"測定の呪い"を暴露したでやんすね。グッドハートの法則の本質は、統計的規則性に圧力をかけると、その規則性を生み出した仕組み自体が崩壊するということでやんす。」
やきう
「ワイの会社も同じや。PRランキング作ったら、みんな1行変更のPR乱発しよってからに。アホかと。」
かっぱ
「それ完全に本末転倒やん。小さいPRが読みやすいからええんであって、細切れにしたら意味ないやろが。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。Beck氏が指摘したのは、正のフィードバックループが負のスパイラルに反転する瞬間でやんすね。小さいPR→読みやすい→協力増→無駄減→PR増、という好循環が、ランキングという圧力で、PR水増し→読みにくい→協力減→無駄増、という悪循環に変わってしまうでやんす。」
ずん
「つまり測定した瞬間、測定対象が腐るってことなのだ?」
やきう
「量子力学かよ。観測したら波動関数が収束するみたいな話やな。」
かっぱ
「いや、もっと単純や。人間がズルするだけやろ。評価されるなら、誰だって数字だけ良く見せようとするわ。」
でぇじょうぶ博士
「そこが恐ろしいところでやんす。Beck氏は『システムは目標を放棄するだけでなく、私たちが望まない新しい目標を採用してしまう』と言っているでやんす。本番障害をゼロにしろと言えば、報告しなくなる。コード行数で評価すれば、コード生成プログラムを書く。人間の創造性が、仕組みを騙す方向に使われるでやんす。」
ずん
「じゃあもう何も測定できないってことなのだ?それって経営的に詰んでるじゃん。」
やきう
「そうやで。だから経営者は『とりあえず数字出せ』言うんや。数字ないと株主に説明できへんからな。」
かっぱ
「マッキンゼーのレポートが『世間知らず』って切り捨てられてて草。コンサルなんて現場知らん人間が机上の空論並べてるだけやもんな。」
でぇじょうぶ博士
「マッキンゼーは『Inner loop』と『Outer loop』に分けて、価値創出時間を最大化しろと言ったでやんすが、それ自体が測定可能な指標になった瞬間、またゲームが始まるでやんす。開発者は『Inner loop時間』を水増しする方法を考え始めるでやんすよ。」
ずん
「もう無理ゲーじゃん。開発生産性なんて測れないってことなのだ?」
やきう
「Beck先生は『測定自体は価値がある』言うてるやろ。自分で測って自分で分析するのはええんや。問題は他人が測定して評価に使おうとすることや。」
かっぱ
「つまり自主トレはええけど、監督がストップウォッチ持って測り始めたら終わりってことやな。」
でぇじょうぶ博士
「まさにその通りでやんす!Beck氏は『私はソフトウェア開発プロセスを測定している。開発を始めてからずっと』と言いつつ、『それは、このレバーでシステムを制御できるという感覚とは全く別物』だと強調しているでやんす。測定は理解のためであって、制御のためではないでやんすね。」
ずん
「じゃあ後編で出てくる『価値の道すじ』ってのが解決策なのだ?」
やきう
「どうせまた抽象的な話やろ。具体的な数字出せって言われたら終わりや。」
かっぱ
「AI時代になってもっと悪化してるって言うてたな。AIが指標最適化しまくって、本質からどんどん離れていくんやろな。」
でぇじょうぶ博士
「AIは『ジーニー』だとBeck氏は言うでやんす。願いを叶えてくれるけど、願ったものとは違うものを与える。PRを増やせと言えばAIは完璧に増やすでやんすが、それは私たちが本当に欲しかったものではないでやんすね。金を願ったら金の下敷きになるようなものでやんす。」
ずん
「結局、人間の判断力とか創造性を数値化しようとすること自体が間違ってるってことなのだ?でもそれって、ボクらエリート会社員の存在意義を否定してないのだ?数字で管理できないなら、マネージャーいらないじゃん。」
やきう
「お前マネージャーちゃうやろ。ずっと下っ端やんけ。」
ずん
「(ムッ)...じゃあ、Kent Beckさんに聞きたいのだ。25年前に日本の書店で本にサインしようとして店員に落書き犯扱いされて逃げたって、それ今でもトラウマなのだ?」