**ずん
** 中絶で1200km移動って、ボク新幹線で寝過ごしても博多にも着かないのだ!そこまでして中絶しなきゃいけないって、ポーランドってどんな国なのだ?
**でぇじょうぶ博士
** ポーランドは中絶規制が極めて厳しい国でやんすね。カトリックの影響が強く、中絶がほぼ全面的に禁止されているでやんす。だから安全に中絶できるオランダまで、文字通り「命がけの旅」を強いられるでやんす。
**やきう
** ワイ、この本読んだけどな、一番ビビったんは主人公が最後まで中絶理由を言わへんことやで。読者に「なんでや?」って思わせるのが狙いなんやろけど、モヤモヤするわ。
**でぇじょうぶ博士
** そのモヤモヤこそが作者の意図でやんす!おいらたちは無意識に「正当な理由」を求めてしまう。でもそれ自体が、女性に説明責任を押し付けてきた社会の刷り込みでやんすよ。
**ずん
** でもさ、理由くらい教えてくれてもいいんじゃないのだ?別に責めてるわけじゃないのだ。
**やきう
** お前みたいなやつがおるから、女は一生説明せなアカンのやで。「別に責めてない」言いながら、結局ジャッジしとるやんけ。
**でぇじょうぶ博士
** やきう君の言う通りでやんす。中絶は本来、第三者の納得を必要としない権利でやんす。理由を求めること自体が、すでに権利を侵害しているでやんすよ。
**ずん
** むぅ...じゃあ日本はどうなのだ?16万円が「破格」って書いてあったけど、ポーランドより安いなら日本の方がマシなのだ?
**でぇじょうぶ博士
** それが大きな勘違いでやんす。ポーランドは「距離の壁」、日本は「制度の壁」で女性を縛っているでやんす。配偶者同意が必要だったり、経口中絶薬の使用が限定的だったり...形は違えど、権利が遠ざけられている点では同じでやんすよ。
**やきう
** ていうか、日本の中絶費用ってめっちゃ高いやんけ。保険効かへんから、貧乏人ほど追い詰められるんや。金持ちは海外行ってサクッと済ませるけどな。
**ずん
** えぇ...お金がないと中絶もできないって、それって結局「産むしかない」ってことになるのだ?
**でぇじょうぶ博士
** その通りでやんす。経済的理由で中絶を諦めざるを得ない女性も少なくないでやんす。「産む自由」だけでなく「産まない自由」も保障されなければ、本当の意味での自由とは言えないでやんすね。
**やきう
** しかもこの本、全ページカラーのグラフィック・ノベルやろ?色で感情表現しとるとか、めっちゃ計算されとるわ。赤が日常で、黄色が守りたいもので、青が揺れる心で、黒が現実とか...芸術やんけ。
**ずん
** うーん、でもボクマンガ読むの疲れるのだ。文字だけの方が楽なのだ。
**やきう
** お前、それ本末転倒やろ。この作品は色彩で「身体感覚」を伝えとるんや。文字だけじゃ絶対に表現できへん領域に踏み込んどるんやで。
**でぇじょうぶ博士
** やきう君の言う通りでやんす。色の移ろいによって、読者は主人公の感情の揺れや判断の重みを追体験できるでやんす。まさにアートでありながら、社会へのプロテストでもある作品でやんすね。
**ずん
** でも正直さ、こういう重いテーマって、自分には関係ないって思っちゃうのだ。ボク男だし...
**やきう
** はぁ?お前、それ一番アカンやつやで。「関係ない」思った瞬間、お前も問題の一部になっとるんや。
**でぇじょうぶ博士
** この作品の恐ろしいところは、「なぜ彼女は中絶を選ぶのか?」と知りたくなった瞬間、読者がすでに物語の当事者になってることでやんす。沈黙によって、おいらたち自身の無意識の偏見を暴き出すでやんすよ。
**ずん
** ...なんかボク、めっちゃ試されてる気がしてきたのだ。でも、やっぱり理由くらいは...
**やきう
** まだ言うか、お前。ええか、中絶に「正当な理由」なんて要らんのや。それが権利っちゅうもんやで。
**ずん
** じゃあさ、ボクが「今日は気分がいいから仕事休む」って言ったら、上司に理由聞かれるのもおかしいってことになるのだ?
**でぇじょうぶ博士
** ...ずん君、それは例えとして不適切でやんす。中絶は身体の自己決定権に関わる基本的人権でやんすが、仕事を休むのは契約上の義務との兼ね合いがあるでやんすよ。
**やきう
** お前、論点ずらしとるやろ。っていうか、お前そもそも仕事サボっとるやんけ。
**ずん
** ...バレたのだ。でもボク、この本読んで少しだけ考えが変わったのだ。沈黙にも意味があるってことが、なんとなく分かった気がするのだ。
**でぇじょうぶ博士
** おお、ずん君にしては珍しく真面目な発言でやんすね。この作品は静かながら、確かに強い力を持っているでやんす。
**やきう
** まぁ、お前が少しでも成長したんなら、ワイも認めたるわ。でも次また「理由は?」とか聞いたら、ぶっ飛ばすで。
**ずん
** わかったのだ。でも一つだけ聞いていいのだ?この本、何ページあるのだ?ボク最近集中力が続かなくて...
**やきう
** お前...せっかくええ感じやったのに台無しやんけ!
**ずん
** だってボク、マンガすら最後まで読めないのだ!そんなボクでも読めるなら、ちょっと挑戦してみたいのだ...!