ずん
「30年後にはミカン産地が6割消滅だって?ボク、ミカン星人だから死活問題なのだ!」
でぇじょうぶ博士
「ずんがミカン星人というのは初耳でやんすが...温暖化で国内のミカン産地が壊滅的打撃を受けるという試算が出たでやんす。」
やきう
「ワイのコタツとミカンの冬が...終わるんか?」
かっぱ
「まぁ、農家もアホやないからな。静岡の連中はもうアボカド育ててんねん。」
ずん
「アボカド!?あの緑のやつ?ミカンより全然高く売れるらしいじゃん!これ、ビジネスチャンスきたんじゃね?」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。完熟アボカドは1個1000円で売れるでやんす。ミカンとは比較にならない単価でやんすね。」
やきう
「1個1000円?ワイ、アボカド育てて億万長者になるわ。明日からミカン畑買い占めるで。」
かっぱ
「お前、家から出てへんのに何言うとんねん。」
ずん
「でもさ、温暖化って悪いことばっかりじゃないってことなのだ?むしろチャンスなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...その発言は不謹慎でやんすが、経済的には一理あるでやんす。農研機構の試算では、気温が1.8度上昇すればアボカド栽培適地は3.2倍に広がるでやんす。」
やきう
「つまり地球温暖化は神の見えざる手ってことやな。市場原理や。」
かっぱ
「お前ら、頭おかしいやろ。農家が何百年も育ててきたミカン文化が消えるっちゅう話やで。」
ずん
「でもさ、輸入アボカドの1割を国産で賄えたら、農家の後継者問題も解決するって書いてあるのだ。合理的じゃん?」
でぇじょうぶ博士
「確かにそうでやんす。現在、国内流通の99%が外国産という状況でやんすから、国内生産のポテンシャルは高いでやんす。健康志向で輸入量も20年前の3倍以上に増えてるでやんすしね。」
やきう
「ほな、ミカン農家は全員アボカド農家になれってことか?伝統とか文化とかどうでもええんか?」
かっぱ
「お前が言うなや。さっき億万長者なるって言うてたやんけ。」
ずん
「そうだそうだ!やきうの意見なんて聞いてないのだ!」
でぇじょうぶ博士
「まぁまぁ、落ち着くでやんす。実際、農水省も傾斜地でアボカドが栽培できることを認めてるでやんす。松山市なんかは市が率先して苗の配布や技術指導をしてるでやんすよ。」
やきう
「でもな、アボカド育てるんに何年かかるんや?すぐに儲かるわけやないやろ?」
かっぱ
「せやな。農業はそんな甘いもんちゃうで。静岡の内田さんも5年かかって200個やからな。」
ずん
「5年で200個...1個1000円だから20万円?えっ、めっちゃ少なくね?」
でぇじょうぶ博士
「ずんの計算は合ってるでやんすが、それは初期段階の話でやんす。技術が確立されれば収量は増えるでやんすよ。静岡県も今年度1800万円の予算を投入してるでやんす。」
やきう
「税金1800万円使うんか。ワイらの血税がアボカドに化けるんやな。」
ずん
「でもさ、AI選果技術とか生産マニュアルとか、なんか本気っぽいのだ。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。これは単なる実験ではなく、農業の大転換期における戦略的シフトでやんす。気候変動に適応できなければ、農業そのものが消滅するでやんすからね。」
やきう
「ほな、30年後の日本は『森のバター大国』になるんか?」
かっぱ
「なるわけないやろ。メキシコ産に勝てるか怪しいわ。」
ずん
「でも完熟収穫できるのは強みなのだ!輸入品より濃厚らしいし、これは勝てるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「確かに完熟アボカドの味は別格でやんす。輸入品は硬い状態で収穫して輸送中に追熟させるでやんすから、風味が全然違うでやんす。」
やきう
「ほな、高級路線で攻めるわけやな。金持ち向けの商売や。」
かっぱ
「せやな。庶民はメキシコ産食うてればええんや。」
ずん
「ちょっと待つのだ!ボクは庶民だから高級アボカド食べられないってこと?」
でぇじょうぶ博士
「まぁ、そういうことでやんすね。ずんの給料じゃ国産アボカドは贅沢品でやんす。」
やきう
「せやから、お前はミカンでも食うとけって話や。...あ、そのミカンも30年後には無いんやったわ。」
ずん
「じゃあ、ボクは30年後にアボカド農家になって大富豪になるのだ!今から準備するのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...ずんが農業やる姿が全く想像できないでやんす。太陽の下で働くなんて、吸血鬼が日光浴するようなもんでやんす。」
ずん
「でもさ、耕作放棄地をアボカド畑にするって、なんかロマンあるのだ!荒れた土地が宝の山に変わるみたいで!」
でぇじょうぶ博士
「確かに、耕作放棄地の活用は日本農業の大きな課題でやんす。現在、約40万ヘクタールもあるでやんすからね。」
やきう
「ほな、ワイもその土地買うて、アボカド王になるわ。」
かっぱ
「だから、お前は家から出えへんやろって言うとるやろ。」
ずん
「でもさ、これって結局、気候変動のおかげで新ビジネスが生まれたってことだよね?」
でぇじょうぶ博士
「...その言い方は問題があるでやんすが、適応策としては正しいでやんす。環境の変化に合わせて作物を変える、これは農業の基本でやんすからね。」
やきう
「じゃあ、もっと温暖化したらマンゴーとかパパイヤも育つんちゃうか?日本が南国フルーツ大国になるで。」
かっぱ
「アホか。そんなん喜んでる場合やないやろ。気候変動は他にも色々影響あるんやで。」
ずん
「でもフルーツ増えるならいいじゃん!ボク、フルーツ好きなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...ずんの思考回路は単純でやんすね。気候変動で失われるものの方が圧倒的に多いでやんす。」
やきう
「ほんまやな。コタツでミカン食う文化が消えるんやで。これは日本の心の喪失や。」
かっぱ
「急に文化人ぶるなや。お前、さっきミカン畑買い占めるとか言うてたやろ。」
ずん
「まぁまぁ、みんな落ち着くのだ。要するに、ミカンがダメならアボカドがあるさ、ってことでしょ?」
でぇじょうぶ博士
「...まぁ、乱暴にまとめるとそうでやんすね。ただし、それには技術革新と農家の努力、そして行政のサポートが不可欠でやんす。」
やきう
「せやけど、ミカン農家のおっちゃんたちが急にアボカド育てられるんか?全然違う作物やろ?」
かっぱ
「せやな。静岡県が120人集めて講座開いてんのも、そういう理由やろな。」
ずん
「じゃあ、ボクもその講座に参加して、一足先にアボカド長者になるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...ずんはミカン農家でもないし、農地も持ってないでやんす。参加資格すらないでやんす。」
やきう
「お前、何もかも持ってへんのな。夢だけは持っとるけど。」
ずん
「むぅ...じゃあボク、メキシコに移住してアボカド農家になるのだ!本場で修行するのだ!」
でぇじょうぶ博士
「やれやれ...。それはともかく、この問題の本質は気候変動への適応策でやんす。ミカンからアボカドへのシフトは、その一例に過ぎないでやんす。」
やきう
「ほな、他の作物も変わっていくんか?北海道でパイナップル育つようになったりするんか?」
かっぱ
「せやな。もう既にブドウの産地が北上してるって話もあるで。」
ずん
「じゃあ、将来的には日本中がトロピカルフルーツだらけになるのだ!最高じゃん!」
でぇじょうぶ博士
「...ずんの楽観主義には呆れるでやんす。温暖化で喜ぶのはペンギンが絶滅して喜ぶようなもんでやんす。」
やきう
「ほんまやな。台風も強くなるし、豪雨も増えるし、農業被害も拡大するんや。アボカドどころやないで。」
かっぱ
「せやせや。傾斜地で育てられるゆうても、土砂崩れのリスクは上がるんやからな。」
ずん
「え、じゃあアボカド農家も危険なの?ボク、やっぱり都会でサラリーマンしてる方がいいかも...」
でぇじょうぶ博士
「今さらでやんすか...。まぁ、確かに農業は自然災害との戦いでもあるでやんす。特に気候変動が進めば、その戦いは激しくなるでやんすね。」
やきう
「ほな、結局、農家はどうしたらええんや?ミカン続けるんか、アボカドに変えるんか、それとも廃業するんか?」
かっぱ
「そんなん、それぞれの農家が決めることやろ。一概には言えへんわ。」
ずん
「でも、何もしないとミカン産地が6割消滅するんでしょ?それって、農家の6割が廃業ってこと?」
でぇじょうぶ博士
「必ずしもそうではないでやんす。栽培適地が減るだけで、技術革新や品種改良で対応できる可能性もあるでやんす。ただし、それには莫大な投資と時間が必要でやんすけどね。」
やきう
「つまり、金持ち農家は生き残れて、貧乏農家は廃業ってことやな。資本主義の勝利や。」
ずん
「じゃあさ、ミカンがなくなったら、正月の風物詩はどうなるのだ?鏡餅の上にアボカド乗せるの?」
でぇじょうぶ博士
「...その発想はなかったでやんす。でも、文化的にはあり得ないでやんすね。」
やきう
「アボカドおせちとか出てきたら、ワイ、もう日本に住みたくないわ。」
かっぱ
「お前、どうせ家から出てへんから関係ないやろ。」
ずん
「でもさ、考えてみたらミカンって安すぎない?袋詰めで数百円でしょ?それがアボカド1個1000円になるんだから、農家は喜ぶんじゃないの?」
でぇじょうぶ博士
「確かに単価は高いでやんすが、生産量や栽培難易度を考えると、そう単純な話ではないでやんす。アボカドは病害虫に弱く、収穫まで5年以上かかるでやんすからね。」
やきう
「5年間無収入ってことか?そんなん耐えられる農家おるんか?」
かっぱ
「せやから、静岡県が支援してんねやろ。ただでさえ後継者不足なんやから、失敗したら農業自体が終わるで。」
ずん
「むむむ、じゃあこれは農業の存亡をかけた大勝負ってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「大げさに聞こえるでやんすが、あながち間違いではないでやんす。日本の農業は高齢化と後継者不足で危機的状況でやんす。そこに気候変動が追い打ちをかけてるでやんすからね。」
やきう
「ほな、もう日本の農業は終わりやな。全部輸入でええやん。メキシコ産のアボカドで十分や。」
かっぱ
「お前、食料安全保障って知らんのか?全部輸入に頼ったら、いざという時どうするんや。」
ずん
「でも、現に今もアボカドの99%は輸入なんでしょ?別に困ってないじゃん。」
でぇじょうぶ博士
「それは平時の話でやんす。戦争や災害、パンデミックで輸入が止まったらどうするでやんすか?食料自給率が低い日本は、真っ先に飢えるでやんす。」
やきう
「せやな。コロナの時もマスク不足で大騒ぎやったもんな。食料も同じことになるで。」
かっぱ
「せやから、国産農業を守る必要があるんや。ミカンでもアボカドでも何でもええから、作り続けなあかん。」
ずん
「じゃあ、ボクたち消費者ができることは何なのだ?国産アボカドを買えばいいの?」
でぇじょうぶ博士
「それも一つの方法でやんすが、もっと根本的には気候変動を食い止めることでやんす。温室効果ガスの排出を減らさなければ、アボカドでさえ育たなくなる日が来るでやんす。」
やきう
「ほな、ワイらも車乗るのやめて、エアコンも使わんようにせなあかんのか?」
かっぱ
「お前、そもそも家から出てへんし、エアコンもったいなくて使ってへんやろ。」
ずん
「でもさ、個人の努力じゃ限界があるよね?企業とか国が本気出さないと無理じゃん?」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。個人の努力も大切でやんすが、システム全体を変えなければ根本的な解決にはならないでやんす。」
やきう
「つまり、ワイらがいくら頑張ってもミカンは消えるってことやな。悲しいなぁ。」
かっぱ
「お前、急に感傷的になるなや。気持ち悪いわ。」
ずん
「でもさ、もしかしたら30年後には、『昔はミカンってのがあってね』って語る時代が来るのかもしれないのだ...」
でぇじょうぶ博士
「...可能性としてはあり得るでやんすね。気候変動が進めば、今当たり前にある果物が絶滅危惧種になる日が来るかもしれないでやんす。」
やきう
「ほな、今のうちにミカン食いまくっとくわ。冬のコタツでミカン食う幸せを噛み締めるんや。」
かっぱ
「せやな。当たり前の幸せほど、失ってから気づくもんやからな。」
ずん
「じゃあボク、今度の冬はコタツでアボカド食べてみるのだ!未来を先取りするのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...アボカドは常温保存が難しいでやんすし、コタツで食べるものでもないでやんす。ずんの発想は常に斜め上でやんすね。」
やきう
「というか、アボカドわさび醤油で食うんか?それともマヨネーズか?」
かっぱ
「普通はサラダやろ。お前ら、アボカドの食べ方も知らんのか。」
ずん
「じゃあ、コタツでアボカドサラダ食べるのだ!これが未来の日本の冬の風景なのだ!...ってあれ?なんか寂しくない?」