# 介護崩壊と社会の生産性
誰が誰を支えているのか?
ずん
「介護職の給料上げろって話、マジで意味わかんないのだ。老人増えすぎて金ないんだから削るしかないじゃんっすよ」
でぇじょうぶ博士
「それは大きな間違いでやんす。削れば削るほど、社会全体が貧乏になるでやんすよ」
やきう
「は?意味不明やんけ。老人に金使わんかったら、その分若者に回るやろが」
でぇじょうぶ博士
「それが逆でやんす。公的介護を削ると、家族が介護離職するでやんす。2030年には9.2兆円の経済損失になるでやんすよ」
ずん
「9.2兆円...?ボクの生涯年収の何倍なのだ...」
でぇじょうぶ博士
「計算するまでもなく、永遠に届かないでやんす」
かっぱ
「辛辣やな。でもなぁ、介護職って無資格でもできるんやろ?なんでそんな高給取りにせなあかんねん」
でぇじょうぶ博士
「そこが罠でやんす。介護職が夜勤で一人で数十人を見てるから、皆が朝起きて会社に行けるでやんす。つまり介護職こそが、社会の生産性を支える縁の下の力持ちでやんす」
ずん
「え、じゃあボクが会社でダラダラできるのも介護職のおかげってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「でもずんの言う通りでやんす。素人が家で介護するより、プロが施設で効率的に介護する方が、社会全体の生産性は圧倒的に高いでやんす」
かっぱ
「せやけど、デイサービス使っても結局朝晩は家族が面倒見なあかんのやろ?意味あらへんやん」
でぇじょうぶ博士
「鋭いでやんす。だから一部では、デイサービスへの公的負担を廃止して、老人ホームに集約すべきという意見もあるでやんす」
ずん
「じゃあ全員老人ホームに入れればいいじゃんっすよ。解決なのだ!」
やきう
「アホか。老人ホーム、入居待ちで何年も順番待ちやぞ。そもそも施設が足りひんねん」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。施設も人も圧倒的に不足してるでやんす。だから賃上げして人を集める必要があるでやんす」
かっぱ
「でもなぁ、賃上げしても人集まるんか?今どこも人手不足やん」
でぇじょうぶ博士
「確かに労働力全体が不足してるのは事実でやんす。でも、介護職が避けられる最大の理由は、きつい・汚い・危険の3Kに加えて、給料が安いからでやんす。少なくとも給料面を改善すれば、状況は大きく変わるでやんす」
ずん
「じゃあその金どこから出すのだ?増税とかやめてほしいのだ」
でぇじょうぶ博士
「一つは老人医療費の見直しでやんす。高額医療に年齢制限を設けて、その分を介護に回すでやんす」
やきう
「老人から取って老人に回すんか。意味あんのかそれ」
でぇじょうぶ博士
「大ありでやんす。延命治療に何千万も使うより、日常生活を支える介護に使った方が、本人も家族も社会も幸せになるでやんす」
かっぱ
「まぁ確かに、90過ぎて胃ろうで生かされるより、元気なうちに好きなもん食って生きたいわな」
ずん
「でもさぁ、介護保険料の負担増やすとか言ってるけど、ボクの給料からもっと引かれるってことじゃんっすよ。やだなぁ」
でぇじょうぶ博士
「今負担を渋ると、将来ずん自身が老人になった時、誰も介護してくれなくなるでやんすよ」
やきう
「お前の場合、老人になる前に孤独死しそうやけどな」
かっぱ
「小学校から介護の大切さ教えるべきやって意見もあるらしいで」
ずん
「えー、ボク小学生の時そんなの習いたくなかったのだ。算数も嫌だったのに」
でぇじょうぶ博士
「でも、介護を『誰かがやる仕事』じゃなくて『社会を支える重要な仕事』と認識する教育は必要でやんす」
やきう
「せやけど現実問題、ワイらの世代が65過ぎる頃には、どうせ制度崩壊しとるやろ。氷河期世代見捨てられる未来しか見えへんわ」
でぇじょうぶ博士
「だからこそ今改革が必要でやんす。放置すれば本当に崩壊するでやんす」
かっぱ
「結局な、介護現場の給料上げて休日増やして、環境改善せな誰も来ぃひんのや。当たり前の話やねん」
ずん
「でもさ、介護職の給料上げたら、ボクの給料相対的に下がるじゃんっすよ。エリート会社員として納得いかないのだ」
でぇじょうぶ博士
「実は介護職の給料が上がれば、他の業種も賃上げ圧力がかかるでやんす。全体の底上げになるでやんすよ」
かっぱ
「そもそも『無資格でできる仕事は安くてええ』っちゅう考えがおかしいねん。きつい仕事こそ高給にすべきやろ」
ずん
「じゃあボクもきつい仕事すれば給料上がるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「ちなみに、現在介護離職を考えてる人の多くが『サービスが不十分で結局自分でやるしかない』と言ってるでやんす。つまり制度はあっても機能してないでやんす」
かっぱ
「せや。手続き面倒やし、使い勝手悪いし、結局家族が抱え込むんや」
ずん
「じゃあ制度作っても意味ないじゃんっすよ。税金の無駄なのだ」
でぇじょうぶ博士
「逆でやんす。制度が不十分だから機能しないでやんす。もっと予算と人員を投入して、本当に使える制度にする必要があるでやんす」
やきう
「でもなぁ、介護の水準下げなもう持たへんって意見もあるで」
でぇじょうぶ博士
「それは最悪の選択肢でやんす。水準を下げれば、結局家族が補わざるを得なくなって、介護離職が増えて、経済損失が拡大するでやんす。負のスパイラルでやんすよ」
かっぱ
「つまり、ケチると余計金かかるっちゅうことやな」
ずん
「難しい話なのだ...でもボク思ったんだけど、AIとかロボットに介護させればよくない?人間いらなくなるじゃんっすよ」
やきう
「お前、親が倒れてもロボットに任せるんか?」
でぇじょうぶ博士
「技術は補助にはなるでやんすが、人間の尊厳に関わる部分は人間がやるべきでやんす。それに、ロボット開発にも膨大な金がかかるでやんすよ」
かっぱ
「結局な、誰かが誰かを支えるっちゅう当たり前の話なんや。介護職が社会を支えて、社会が介護職を支える。それだけやねん」
ずん
「なんかいい話風になってるけど、結局ボクの負担増えるんでしょ?やっぱり嫌なのだ!今のうちに海外逃亡するのだ!」
やきう
「お前みたいなんが一番先に見捨てられるタイプやで」
ずん
「...じゃあボク、今から介護職目指そうかな。給料上がるなら将来安泰じゃんっすよ!これ勝ち組ルートきたんじゃね?」