# ディスカッション
漫画家の脳梗塞体験記が問いかけるもの
ずん
ねえねえ、漫画家が脳梗塞になって、最後は閉じ込め症候群とか怖すぎるのだ。ボク、絵が下手になったらどうしよう...ってまあ元々下手なんだけど!
でぇじょうぶ博士
やれやれ、ずん君は元々描けないでやんすから心配無用でやんす。それより、この岡部閏先生の作品は医学的にも興味深いでやんすよ。脳梗塞の初期症状として「絵が下手になる」という気づきは、実は右脳の機能低下を示唆する典型例でやんす。
やきう
ワイ思うんやけど、絵が下手になったくらいで病院行くって、どんだけ自分の絵に自信あんねん。ワイなんか最初から下手やから気づかんわ。
かっぱ
お前、それ自虐風自慢やろ。でもな、プロの漫画家にとって絵が描けんくなるっちゅうのは、サラリーマンが急に計算できんようになるより深刻やねん。
ずん
でも博士、閉じ込め症候群って何なのだ?名前からして怖いのだ。
でぇじょうぶ博士
閉じ込め症候群、つまりLocked-in syndromeでやんすね。これは脳幹の腹側部分が損傷することで、意識は完全に清明なのに体を動かせない状態でやんす。まるで自分の体が刑務所になってしまったようなもんでやんすよ。目だけは動かせることが多いでやんすが...
やきう
意識あるのに体動かせへんって、それもう生き地獄やん。しかも周りからは意識ないと思われるかもしれへんし。
かっぱ
そや。しかも本人は全部聞こえとるし、理解もしとる。そんな状態で放置されたら...考えただけでゾッとするわ。
ずん
う〜ん、でもこれってフィクションとノンフィクションの境目が曖昧って書いてあるのだ。つまり実際にはなってないってこと?
でぇじょうぶ博士
いい質問でやんすね。最終話は恐らく「もしこうなっていたら」という仮定を描いているでやんす。でも後遺症を抱える当人にとって、この恐怖は毎日頭にこびりついている現実でやんす。つまり、起こらなかった未来も、可能性として常に存在し続けるわけでやんすよ。
やきう
なんや哲学みたいになってきたな。でもワイ的には、こういう体験談を漫画にできる精神力がすごいと思うわ。普通トラウマで描けへんやろ。
かっぱ
それな。しかも最終話8ページもあるやん。自分の一番恐れとることを形にするって、ある意味セラピーなんかもしれへんな。
ずん
でもさ、こういう怖い話を広めるのって、みんなを不安にさせるだけじゃないのだ?
でぇじょうぶ博士
それは違うでやんす。むしろ早期発見の重要性を啓発してるでやんすよ。「絵が下手になった」という異変に気づいて病院に行ったから、この先生は今も漫画を描けているでやんす。気づかずに放置していたら、もっと重篤な後遺症が残っていた可能性が高いでやんす。
やきう
つまり「おかしいな」と思ったらすぐ病院行けってことやな。ワイも最近物忘れ激しいんやけど...これ大丈夫かな?
ずん
ちょっと待つのだ!この先生、脳梗塞の体験漫画描いた後にアニメ化する別作品もあるって、タフすぎないのだ?
でぇじょうぶ博士
『グッド・ナイト・ワールド』でやんすね。これは脳梗塞の前から連載していた作品でやんす。むしろ病気を経験した後も創作を続けているという事実が、回復と適応の証でやんすよ。キャストも豪華でやんすし、話題性は十分でやんす。
やきう
大塚明夫に水瀬いのりって、予算どうなっとんねん。でもこれ、ゲーム世界の話っぽいな。現実逃避したくなる気持ちはわかるわ。
かっぱ
現実がしんどい時こそ、フィクションの世界が支えになるもんやからな。この先生にとっても、創作が生きる理由の一つなんかもしれへんわ。
ずん
なんか感動的な話になってきたのだ...でもボク思ったんだけど、漫画家って脳梗塞のリスク高そうだよね。座りっぱなしで運動不足で、締め切りのストレスもあって...
でぇじょうぶ博士
鋭い指摘でやんす。実際、長時間座位は血栓形成のリスクを高めるでやんす。さらに睡眠不足、偏った食生活、運動不足が重なれば、脳梗塞のリスクは確実に上がるでやんすよ。これは漫画家に限らず、プログラマーやデスクワーク従事者全般に言えることでやんすが。
やきう
ワイもずっと家でPC作業しとるから、他人事やないわ...定期的に立って歩かなあかんのやろうけど、面倒くさいねんな。
かっぱ
命と面倒くささ、天秤にかけるまでもないやろ。1時間に1回くらい立って歩くだけでもだいぶ違うで。
ずん
そういえば、この漫画読んだ人たちのコメント見ると「初めて知った」って人多いのだ。閉じ込め症候群ってそんなにマイナーなのだ?
でぇじょうぶ博士
マイナーと言うより、考えたくない現実でやんすね。発症率自体は低いでやんすが、脳卒中の合併症としては知られているでやんす。ただ、一般の人が日常的に意識する病気ではないでやんすし、あまりにも恐ろしい状態なので、情報として避けられがちでやんす。
やきう
でも今回、バズったことで認知度は上がったやろな。ある意味、この先生の体験が多くの人の命を救うかもしれへんわけや。
かっぱ
そう考えると、辛い体験を公開する勇気ってすごいことやな。普通は隠したくなるもんやで。
ずん
でもさ、ボク気になるのだ。フィクションとノンフィクションの境界を曖昧にするって、読者を混乱させないのだ?
でぇじょうぶ博士
それが狙いでやんすよ。最終話は「これは起こらなかった未来」でありながら、「いつでも起こりうる未来」を描いているでやんす。つまり、後遺症を抱えながら生きるということは、この恐怖と常に隣り合わせだという現実を表現しているでやんす。ある意味、心理的ノンフィクションでやんすね。
やきう
深いな...でも読者的には「結局どっちやねん!」ってなりそうやけど。
かっぱ
それでええんちゃう?モヤモヤが残るからこそ、考え続けるわけやし。スッキリ終わる話だけが良い話とは限らへんで。
ずん
むむむ...なんだか難しくなってきたのだ。でも一つ確実に言えることは、ボクは毎日ちゃんと運動して、野菜食べて、早寝早起きするのだ!
やきう
お前、昨日夜中の3時までゲームしとったやん。
でぇじょうぶ博士
ずん君の健康習慣は、まるで脳梗塞製造マシンでやんす。このままだと、岡部先生の漫画を「予言書」として読む日が来るでやんすよ。
ずん
う...でもさ、今すぐ生活習慣変えるのは無理なのだ。だって楽しいことやめられないし...
やきう
典型的なダメ人間の思考回路やな。そんなんやから、将来後悔するんやで。
かっぱ
まあでも、人間なんて痛い目見なわからん生き物やからな。ずんもいつか自分で気づく日が来るやろ。
ずん
その「いつか」が来る前に脳梗塞になってたらどうするのだ!
でぇじょうぶ博士
だから今から気をつけろと言ってるでやんす...。でも実際、若年性脳梗塞も増えてるでやんすからね。30代40代でも発症するケースは珍しくないでやんす。特に生活習慣病の若年化が進んでいる現代では、他人事ではないでやんすよ。
やきう
ワイの会社の先輩も、40代で倒れたわ。まさか自分がなるとは思ってへんかったって言うとったで。
かっぱ
そういう「まさか自分が」ってやつが一番危ないんやけどな。でもまあ、人間そんなもんやろ。
ずん
じゃあボクたちはどうすればいいのだ?毎日怯えながら生きるのだ?
でぇじょうぶ博士
違うでやんす。怯えるんじゃなくて、知識を持って対策するでやんす。定期健診、適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠。これだけでリスクは大幅に下がるでやんす。岡部先生の漫画も、恐怖を煽るためじゃなく、気づきを与えるために描かれたはずでやんす。
やきう
結局、当たり前のことを当たり前にやれってことやな。それが一番難しいんやけど。
かっぱ
せやな。でも命には代えられへんで。ワイも今日から少し歩くことにするわ。
ずん
ボクも...運動...する...かも...いや、とりあえずこの漫画全話読んでから考えるのだ!それで怖くなったら生活習慣改善するのだ!
でぇじょうぶ博士
それでいいでやんす。まず知ることから始めるのが大事でやんす。岡部先生の勇気ある告白が、一人でも多くの人の命を救うきっかけになればいいでやんすね。
やきう
でもアニメの方も気になるな。『グッド・ナイト・ワールド』、一挙放送って深夜1時からやん。健康考えるなら見るべきやないやろ...
ずん
よし決めたのだ!ボクは録画して、健康的な時間に見るのだ!そして感動して、生活習慣を改めるのだ!これで完璧なのだ!
やきう
その「いつか見る録画」が永遠に見られへんやつや。
ずん
...うるさいのだ。ボクだってちゃんと...あれ、そういえば去年録画したドラマまだ見てないのだ。