ずん
芥川賞作家が2冊目出すのに2年以上かかるって、どんだけ遅筆なのだ?
でぇじょうぶ博士
それは誤解でやんす。市川さんは書いてたでやんすよ。ただ、出版社の販売戦略で文庫版との同時発売を狙ってたから待たされたでやんす。
やきう
つまり出版社が悪いってことやな。作家を放置プレイしとったんか。
でぇじょうぶ博士
やんすね。市川さんは毎日「本が出ない」ってノートに書き殴り続けて、自ら「特級呪物」と呼んでるでやんす。
ずん
ノートに呪いを込めるって、それもう文学じゃなくて呪術なのだ。
やきう
ワイも就活失敗した時、毎日「内定出ない」って書いてたわ。結果、今ニートや。
でぇじょうぶ博士
それは呪物じゃなくて、ただの事実の記録でやんす...。
ずん
でも芥川賞って、そんなに凄いものなのだ?YouTubeの予想動画にイライラするほど?
でぇじょうぶ博士
市川さんにとっての芥川賞は「既存のフレームを打ち破る、ただならぬ文学」が獲るべきものでやんす。単なる出来の良さじゃダメでやんすよ。
やきう
せやけど、その「ただならぬ文学」って何やねん。抽象的すぎて意味わからんわ。
でぇじょうぶ博士
新規性、批評性、前衛性、文体の更新といった独特の係数があるでやんす。エンタメとは一線を画すものでやんすね。
ずん
つまり、売れなくても尖ってればいいってことなのだ?
でぇじょうぶ博士
極論を言えばそうでやんすが...市川さんは「みんな仲良くしようよ」って気持ちで書いてるそうでやんす。
やきう
仲良くする気あるんか?主人公がミソジニストやのに。女嫌いやんけ。
でぇじょうぶ博士
そこが市川さんの面白いところでやんす。弱者と強者は相対的で固定されてないという考え方でやんす。女性がいつも弱者とは限らないでやんすよ。
ずん
なるほど...でも市川さん、体調悪いって書いてあるのだ。大丈夫なのだ?
でぇじょうぶ博士
40代半ばで筋疾患があり、起きて身づくろいして食べるだけで日が暮れるそうでやんす。精神力も落ちてきてるとか。
やきう
ワイも起きて歯磨きしてYouTube見てたら日が暮れるで。似たようなもんやな。
でぇじょうぶ博士
全然違うでやんす!市川さんは人工呼吸器をつけて車いすユーザーでやんす!
ずん
でも、それでも小説家になってよかったって言ってるのだ。すごいのだ。
やきう
無職から脱出できたんやもんな。ワイも見習わなあかんわ...明日から本気出す。
でぇじょうぶ博士
やきう君が明日から本気出すのは、市川さんが書店で自分の本を見るより難しいでやんす。
ずん
書店で自分の本を見たことないって、悲しすぎるのだ...。
でぇじょうぶ博士
外出が困難だからでやんすね。でも20カ国以上で翻訳されて、海外の文学賞候補にもなってるでやんす。世界中で読まれてるでやんすよ。
やきう
世界で読まれてるのに、地元の本屋では自分の本見れへんって皮肉やな。
ずん
じゃあ、誰かドローンで本屋の棚撮影して届けてあげればいいのだ!
でぇじょうぶ博士
それは斬新な発想でやんすが...市川さんが求めてるのは「リアルで見る」体験でやんす。画面越しじゃダメでやんすよ。
やきう
せやったら書店が市川さんの家まで出張すればええやん。移動書店や。
ずん
それ名案なのだ!「市川沙央専用移動書店」!儲かるのだ!
でぇじょうぶ博士
...それは本末転倒でやんす。でも、読者の熱意でそういう企画が実現する可能性はゼロじゃないでやんすね。
でぇじょうぶ博士
市川さんは寝てても稼いでないでやんす!2冊目出すまで2年以上苦しんでたでやんす!
ずん
そうなのだ。芥川賞とっても、結局は書き続けなきゃいけないのだ。
やきう
じゃあ結局、作家も普通のサラリーマンも変わらんってことか。労働からは逃れられへんのやな。
でぇじょうぶ博士
いや、市川さんは「世界の果てまで言葉を通して社会とつながる人間になった」と言ってるでやんす。それは普通のサラリーマンとは違う価値でやんすよ。
ずん
でも孤独で、横のつながりもなくて、情報も入ってこないって言ってるのだ...。
やきう
結局、作家って孤独な仕事なんやな。ワイのニート生活と大差ないやん。
でぇじょうぶ博士
全然違うでやんす!市川さんは社会とつながってるでやんす!やきう君は断絶してるでやんす!
ずん
まあ、市川さんは「読書バリアフリー」も広めたし、社会的な影響力もあるのだ。
でぇじょうぶ博士
そうでやんす。ただ、市川さん自身は「専門家でもない作家が偉そうに社会的発言をするべきなのか」と逡巡してるそうでやんす。
やきう
謙虚やな。ワイなんか専門家でもないのに5chで毎日偉そうに語っとるわ。
でぇじょうぶ博士
市川さんは「石の下に蠢く虫」だった過去の自分を忘れたくないと言ってるでやんす。謙虚というより、自分のルーツを大切にしてるでやんすね。
やきう
ワイも石の下の虫や。けど這い上がる気力ないわ。
ずん
でも市川さん、小説以外の仕事が増えて小説書く時間がないって嘆いてるのだ。本末転倒なのだ。
でぇじょうぶ博士
それは芥川賞作家あるあるでやんす。講演や取材、対談などの依頼が殺到して、肝心の創作時間が削られるでやんす。
でぇじょうぶ博士
それができないから苦しんでるでやんす。市川さんは「他を断る勇気をもって小説に専念しようと思います」と決意表明してるでやんすよ。
ずん
断る勇気か...ボクも嫌な仕事は全部断ってるのだ。だからボクはフリーターなのだ。
でぇじょうぶ博士
ずん君の場合は、引き受ける仕事がそもそもないでやんす...。
ずん
ひどいのだ!でも市川さんの「10時間うだうだしておいて一瞬だけ仕事する」って、ボクと同じなのだ!
でぇじょうぶ博士
市川さんは体の問題で時間がかかってるでやんす。ずん君とは事情が違うでやんす。
ずん
そっか...でも市川さん、2冊目出たし、これから環境も新しくするって言ってるのだ。希望が見えてきたのだ!
でぇじょうぶ博士
おそらく生活環境や仕事環境の整備でやんすね。介護体制の見直しとか、執筆環境の改善とか。
ずん
ボクも環境新しくしたいのだ。とりあえず部屋の掃除からなのだ。
でぇじょうぶ博士
市川さんの場合、環境を整えないと命に関わるでやんすから、ずん君の部屋掃除とは重みが違うでやんす。
ずん
でも、市川さんの話聞いてると、芥川賞とっても楽になるわけじゃないのだ。むしろ大変になってるのだ。
でぇじょうぶ博士
そうでやんす。でも市川さんは「やっぱり、よかったです」と言い切ってるでやんす。それは無職から脱し、両親に恩返しができたからでやんす。
やきう
ワイの親も孫の顔見たいって言うとるわ...。
でぇじょうぶ博士
市川さんの「世界の果てまで言葉を通して社会とつながる人間になった」という言葉は重いでやんす。引きこもりでも社会とつながれることを証明したでやんすよ。
やきう
つまり、ワイもネットで何か発信すれば社会とつながれるってことか?
でぇじょうぶ博士
やきう君の5chの書き込みは社会とつながってるというより、社会を汚染してるでやんす。
ずん
ひどいのだ...でも、市川さんは書店で自分の本を見るのが夢なのだ。実現してほしいのだ。
やきう
ほんまやな。20カ国以上で翻訳されとるんやったら、日本の書店くらい来てくれてもええやんけ。
でぇじょうぶ博士
それは物理的・体力的に難しいからこそ、夢として語られてるでやんす。でも、読者やファンが実現させる方法を考える価値はあるでやんすね。
ずん
じゃあボクが実現させてあげるのだ!まず本屋で働いて、そして市川さんの家に...
ずん
なんでなのだ!?ボクは優秀なエリートなのだ!
でぇじょうぶ博士
ずん君が優秀なエリートなら、おいらはアインシュタインでやんす。
やきう
つまり博士はアインシュタインってことやな。
ずん
じゃあボクも天才なのだ!市川さんに会いに行くのだ!でもその前に...本屋ってどこにあるのだ?