ずん
「イタリアがフェミサイドを独立した犯罪にしたらしいのだ。自動的に終身刑って、めっちゃ厳しくない?」
やきう
「厳しい?ワイに言わせりゃ、女を殺したら死刑でええやろ。終身刑なんて生ぬるいわ。」
でぇじょうぶ博士
「やれやれ、やきう君は相変わらず過激でやんすね。でもこの法律の本質は刑罰の重さではないでやんす。」
でぇじょうぶ博士
「『なぜ女性が殺されるのか』という動機を法律が認識したことでやんす。つまり、ジェンダーを理由とした殺人を『ただの殺人』とは区別したんでやんす。」
やきう
「ほーん。で、それで女が助かるんか?結局、殺されてからやろ?」
ずん
「たしかに...。死んでから犯人が終身刑になっても、被害者は生き返らないのだ。」
でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんすね。だからこそ、ジュリアさんの父親は教育の重要性を訴えているでやんす。感情教育と性教育を義務化しようとしているでやんす。」
やきう
「感情教育?何やそれ。『俺は悲しい』とか日記でも書かせるんか?草生えるわ。」
でぇじょうぶ博士
「バカにしてはいけないでやんす。実は感情をコントロールできない男性が、関係を終わらせた女性を殺すケースが多いんでやんす。つまり『振られたから殺す』という短絡的思考でやんすよ。」
ずん
「うわぁ...それって要するに『俺のものにならないなら壊す』みたいな考え方なのだ?」
やきう
「まあ、気持ちはわからんでもないけどな。好きやったんやろ?」
でぇじょうぶ博士
「それこそが家父長制の問題でやんす!女性を『所有物』として見る価値観が根底にあるでやんす。」
ずん
「でも博士、イタリアって世界男女格差指数で85位なんでしょ?EU最下位レベルって...。法律作っただけで変わるのかなぁ。」
でぇじょうぶ博士
「むむむ、するどい疑問でやんすね。実際、法学者のトッレ教授も『政府が何かやってるアピールでは?』と批判してるでやんす。」
やきう
「ほらな。結局パフォーマンスやんけ。政治家なんてどこも一緒や。」
でぇじょうぶ博士
「しかし、全会一致で可決されたという事実は重要でやんす。与野党問わず賛成したということは、少なくともイタリア社会が問題を認識し始めた証拠でやんす。」
ずん
「でも定義が曖昧すぎるって批判もあるのだ。『女性の自由を制限するための殺人』とか、どう証明するのだ?」
やきう
「そもそも『憎悪、差別、支配、制御』なんて、誰にでも当てはまるやろ。殺人なんて全部そうやんけ。」
でぇじょうぶ博士
「それが法律の難しいところでやんす。でも逆に言えば、これまではそういう動機すら議論されてこなかったんでやんす。『激しい愛』とか『強い嫉妬』みたいなロマンティックな言葉で誤魔化されてきたでやんすよ。」
ずん
「あー、なるほど。『愛が重すぎた』みたいな美化するやつなのだ。」
やきう
「でも愛ゆえの犯罪って実際あるやろ?ワイは童貞やけど、その気持ちわかるで。」
でぇじょうぶ博士
「やきう君、それは支配欲でやんす。愛ではないでやんす。相手を尊重できない感情は、ただのエゴでやんすよ。」
ずん
「じゃあこの法律で本当に女性は救われるのかなぁ...。なんか疑問なのだ。」
でぇじょうぶ博士
「法律だけでは無理でやんす。『家父長制博物館』という展示があるでやんすが、そこで言われているのは『暴力を防ぐには平等を築く必要がある』ということでやんす。」
やきう
「平等ねぇ...。でもイタリアの女性就業率50%やろ?日本とどっちがマシなんやろな。」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんすね。結局のところ、この法律は『スタート地点』に立ったに過ぎないでやんす。本当に必要なのは経済施策や教育改革、そして社会の価値観を変えることでやんす。」
やきう
「まあ、法律作るだけなら簡単やからな。実際に社会が変わるかは別問題や。」
ずん
「でも、ジュリアさんの妹のエレナさんが『犯人は怪物じゃなくて、家父長制社会の健全な息子』って言ったのは刺さるのだ。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。つまり『特別なモンスター』が犯罪を起こすのではなく、社会構造そのものが犯罪を生み出しているという指摘でやんす。」
やきう
「それって、俺らも予備軍ってことか?怖いわ。」
ずん
「やきうが童貞なのは、ある意味社会の安全装置なのかもしれないのだ。」
やきう
「は?何言うとんねん。ワイがモテんのは顔と性格と収入と...」
でぇじょうぶ博士
「話を戻すでやんす。この法律の一番の功績は、『フェミサイド』という言葉を公的に認めたことでやんす。以前は極右などが使用を嫌がっていた言葉でやんすからね。」
ずん
「名前をつけることで、問題が可視化されるってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「正解でやんす!名前がないものは統計も取れないし、対策も立てられないでやんす。これで別枠で記録されるようになったでやんす。」
やきう
「でも自動的に終身刑って、裁判所の判断の余地なくなるやん。それってどうなん?」
でぇじょうぶ博士
「むむむ、それは一理あるでやんす。ただ、抑止力としての効果は期待できるでやんすね。『振ったら殺される』と思わせるのではなく、『殺したら確実に終身刑』と思わせるでやんす。」
ずん
「でもさ、結局教育が重要って話になるなら、法律って意味あるのかなぁ...。」
やきう
「教育なんて時間かかるやろ。それまでに何人死ぬんや。」
でぇじょうぶ博士
「だから両方必要なんでやんす。短期的な抑止力としての法律と、長期的な根本解決としての教育でやんす。どちらか一方では不十分でやんすよ。」
ずん
「なるほど...。じゃあ日本もこういう法律作るべきなのだ?」
やきう
「日本は『夫婦喧嘩は犬も食わない』とか言うて、家庭内の問題を見て見ぬふりする文化やからな。無理やろ。」
でぇじょうぶ博士
「確かに、日本のジェンダーギャップ指数も相当低いでやんすからね。でも議論を始めることが第一歩でやんす。イタリアだって全会一致までこぎつけたでやんすから。」
ずん
「でも博士、イタリアって情熱の国じゃないのだ?なんでこんなに男女不平等なのだ?」
でぇじょうぶ博士
「実は『情熱的』というイメージこそが問題でやんす。それが『男性の激しい愛』を美化し、女性への暴力を正当化する土壌になってきたでやんすからね。」
ずん
「うわぁ...。じゃあ『愛が重い』とか『一途』とかも、見方を変えれば危険なのだ?」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。相手の意思を無視した『愛』は、ただの執着でやんす。ジュリアさんを殺したトゥレッタ受刑者も、『普通の学生』だったでやんすからね。」
ずん
「でもさ、この法律で本当に変わるのかなぁ。なんか不安なのだ。」
でぇじょうぶ博士
「変わるかどうかは、イタリア国民次第でやんす。法律は道具に過ぎないでやんす。それをどう使うかが重要でやんすよ。」
やきう
「まあ、少なくとも議論が始まったことは評価できるんちゃう?何もせんよりマシや。」
ずん
「そうなのだ...。じゃあボクも、まずは『女性を尊重する』ことから始めるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「素晴らしい心がけでやんす!でもずん君、その前にまず働くことから始めた方が...」
ずん
「は?関係ないじゃん!ボク今いいこと言ったのに、なんで水差すのだ!?」
やきう
「草。でも確かに、ニートが女性尊重とか言うても説得力ないわな。」
ずん
「むぅ...。じゃあ、まずはアルバイト探すのだ。それで稼いだお金で、女性に優しくするのだ!」
でぇじょうぶ博士
「それは『優しさ』ではなく『金で買う好意』でやんす...。」
ずん
「...ボク、やっぱりニートのままでいいかもしれないのだ。その方が社会の安全のためなのだ!」