ずん
「7年会ってない婚約者から逃げてアジア放浪とか、完全に人間のクズなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「まぁまぁ、ずん君。エドワードの気持ちもわからんでもないでやんす。7年も会ってない相手と結婚なんて、ネット通販で頼んだ商品が7年後に届くようなもんでやんす。」
やきう
「いや待てや。女の方もおかしいやろ。普通は追いかけへんで。ストーカーやんけ。」
でぇじょうぶ博士
「確かにモリーの行動力は凄まじいでやんすね。富豪にプロポーズされても、病に倒れても追い続けるとか、まるでターミネーターでやんす。」
ずん
「でもさ、これカンヌで監督賞取ってるのだ。何がそんなに評価されたのだ?」
でぇじょうぶ博士
「映像美でやんすね。1918年の設定と現代アジアの映像を混ぜて、モノクロとカラーを織り交ぜる手法は、まるで時空が歪んだ万華鏡でやんす。」
かっぱ
「けど批評家の評価バラバラやん。『芸術の重石が映画の足を引っ張ってる』って辛辣やで。」
やきう
「ワイ的には『アジアの日常を混沌の不可思議という優越の眼差しで描いてる』って指摘が気になるわ。結局白人目線のエキゾチシズムやろ?」
でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんす。西洋人が捉えたアジアが『沼』や『湿気』の変奏曲になるのは、おいらも類型的だと思うでやんす。」
ずん
「ねぇねぇ、大阪のドン・キホーテが出てくるらしいのだ。1918年にドンキあったのだ?」
かっぱ
「お前アホか。現代の映像混ぜとるって言うとったやろ。ちゃんと話聞いとけや。」
でぇじょうぶ博士
「そこが面白いところでやんすよ。時代と歴史、現代と過去を絡み合わせて、境界を曖昧にしてるでやんす。」
やきう
「でも129分は長いで。『コロニアル趣味やダンディズムに傾き過ぎて冗長』ってのは同感や。」
ずん
「というか、7年も放置しといて結婚しようとか言い出す方がどうかしてるのだ。エドワードが逃げるのも当然なのだ!」
かっぱ
「お前の理屈で言うたら、お前のカーチャンがお前を7年放置しとったら捨てても文句言えんってことやな。」
でぇじょうぶ博士
「まぁ、この映画の本質は追いかけっこそのものではなく、『逃げる』という行為が持つ意味を問うてるでやんす。エドワードは何から逃げてるのか、と。」
ずん
「やきう、自己紹介やめるのだ...でもボクも結婚から逃げ続けて世界一周したいのだ!」
かっぱ
「お前、婚約者どころか彼女もおらんやろ。何から逃げるねん。」
でぇじょうぶ博士
「ずん君の場合は、現実から逃げてるでやんすね。この映画のエドワードと本質的には同じでやんす。」
やきう
「結局この映画、芸術性高いけど観客置いてけぼりってパターンやな。カンヌ向けの映画や。」
ずん
「じゃあボクみたいな一般人は観なくていいってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、そんなことはないでやんす。『まったりお酒を呑む時のBGMに最適』という評価もあるでやんすよ。つまり映画館で寝れるってことでやんす。」
ずん
「でもさ、モリーってすごくない?富豪のプロポーズ蹴ってまで追いかけるとか、真の愛なのだ!」
かっぱ
「いや、それただの執着や。ストーカー規制法に引っかかるレベルやで。」
でぇじょうぶ博士
「おいらの計算によると...いや、おいらの経験上、7年も会わずに関係を維持できる恋愛なんて存在しないでやんす。既に破綻してるでやんす。」
やきう
「博士、経験上って...お前そもそも彼女おったことあるんか?」
でぇじょうぶ博士
「...それは言わない約束でやんす。」
ずん
「結論としては、この映画観るべきなのだ?観ないべきなのだ?」
かっぱ
「芸術映画好きなら観たらええし、普通の娯楽映画期待しとるなら避けた方が無難やな。」
でぇじょうぶ博士
「要するに、映画に何を求めるかでやんすね。美しい映像と実験的手法を楽しみたいなら価値があるでやんす。明快なストーリーを求めるなら避けるべきでやんす。」
やきう
「でも正直、アジアを舞台にしとるのに日本の扱いがドンキだけってのはどうなんや。もっと他にあるやろ。」
かっぱ
「お前の発想が既にステレオタイプやんけ...」
でぇじょうぶ博士
「それこそが監督の意図かもしれないでやんす。『西洋人から見たアジア像』の虚構性を、ドン・キホーテという記号で表現してるのかもしれないでやんす。」
やきう
「深読みしすぎやろ。単に面白い映像撮れたから使っただけちゃうんか。」
ずん
「で、結局二人は最後どうなるのだ?結婚するのだ?」
でぇじょうぶ博士
「それは観てのお楽しみでやんす。でも、おいらの予想では...」
やきう
「どうせハッピーエンドちゃうやろ。芸術映画やし。」
ずん
「むぅ...ボクの予想では、最終的に二人とも疲れ果てて、『もういいや』って別々の人と結婚するのだ!そして10年後に偶然再会して『あの時は若かったねぇ』って笑い合うのだ!」
でぇじょうぶ博士
「でも案外、ずん君の予想が一番現実的かもしれないでやんすね。追いかけっこに疲れた人々の行き着く先は、諦観でやんす。」
やきう
「結局この映画が伝えたいことって何なんや?『逃げるな』ってことか?『追うな』ってことか?」
ずん
「いや違うのだ!『7年も放置すんな』ってことなのだ!これが教訓なのだ!みんな、婚約者はこまめに連絡取るのだ!」