ずん
「家政夫が霊退治とか、完全に仕事の範囲超えてるのだ!労基に訴えるべきなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「やんすねぇ。しかし現代の家事代行サービスは、料理洗濯掃除に加えて除霊まで含まれる時代になったということでやんすか。おいらも依頼してみようかなぁ...部屋に巣食う『やる気』という名の幽霊を退治してほしいでやんす。」
やきう
「ワイの部屋にも『就職意欲』っちゅう霊がおらんくなって久しいわ。こいつ呼んだろか。」
ずん
「いやいや、お前らの部屋に必要なのは除霊じゃなくて消臭剤なのだ。」
でぇじょうぶ博士
「むむむ、痛いところを突くでやんすね。しかしこの『霞書房』という貸本屋、なかなか趣があるでやんす。現代で貸本屋とは...まるで昭和にタイムスリップしたかのようでやんす。」
やきう
「貸本屋ってなんやねん。本なんてネットで読めるやろ。時代遅れもええとこや。」
ずん
「でもさ、本を借りるってことは返さなきゃいけないってことなのだ。つまり積読できないのだ!これは革命的なシステムなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「確かに...強制的に読まざるを得ない状況を作り出すとは、まさに読書習慣改善の最終兵器でやんすね。おいらの部屋には未読の技術書が富士山より高く積まれてるでやんす。」
やきう
「お前な、富士山より高かったらもう宇宙空間やんけ。酸素ないで。」
ずん
「それより気になるのが、この透って人なのだ。24歳で洋館に住んで貸本屋を経営とか、完全に勝ち組なのだ。ボクも洋館に住みたいのだ!」
でぇじょうぶ博士
「やんすが、その洋館には幽霊が出るんでやんすよ?ずんは幽霊より先に家賃で死ぬでやんす。」
やきう
「しかも華奢で美しいってなんやねん。イケメンは全てを持ってるんか。ワイなんて美しいどころか鏡見るたびに悲鳴あげそうになるで。」
ずん
「まぁまぁ、やきう。君の顔面は立派なホラーコンテンツなのだから、むしろこの小説に登場する資格があるのだ。」
でぇじょうぶ博士
「しかしこの作品、『准教授・高槻彰良の推察』シリーズを書いた澤村御影さんの新作でやんすか。累計150万部とは...おいらの研究論文の引用数より多いでやんす。悲しいでやんす。」
やきう
「当たり前やろ。お前の論文なんて読むやつおらんわ。タイトルからして『量子もつれにおける非局所性の検証』とか、もう読む気失せるわ。」
ずん
「でもこの家政夫の秋生って人、料理上手で背が高くてガタイがいいとか、完全にモテ要素全部入りなのだ。不公平なのだ!」
でぇじょうぶ博士
「人生は不公平なもんでやんす。おいらなんてガタイはいいけど、料理は研究室でカップ麺作るのが精一杯でやんす。そして恋人は実験器具だけでやんす。」
やきう
「実験器具に恋するとか、もう人として終わっとるやん。ワイでもそこまで落ちぶれてへんで。」
ずん
「え、でもやきうって二次元の嫁しかいないじゃん...あ、まずい事言ったのだ?」
でぇじょうぶ博士
「まぁまぁ、落ち着くでやんす。この作品の面白さは、家事代行と霊現象という異質な要素の組み合わせにあるでやんす。現代のサービス業と超常現象という、まるで水と油のような組み合わせでやんすね。」
ずん
「でも考えてみれば、掃除って悪い気を払うって意味もあるのだ。だから家事代行でお祓いって、実は理にかなってるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「おお、ずんにしては鋭い指摘でやんす。確かに、清浄さと霊的浄化は古来より結びついているでやんすね。神社でも水で手を清めるでやんす。」
やきう
「ほーん、つまりワイの部屋が汚いのは、霊的に見ても最悪ってことか。道理で運気が上がらんわけや。」
ずん
「いや、お前の場合は霊とか関係なく、単純に掃除しないからなのだ。」
でぇじょうぶ博士
「しかし『なんか凄い……面白かった……』という感想、これは最高の褒め言葉でやんすね。言語化できないほどの感動、それこそが真の傑作の証でやんす。おいらの論文にもそんな感想が欲しいでやんす...」
やきう
「お前の論文に対する感想は『なんか凄い……眠くなった……』やろな。」
ずん
「ところでさ、この透って人が住んでる洋館、横浜駅近くなのだ。横浜駅近くで洋館とか、地価ヤバそうなのだ。固定資産税だけで庶民の年収超えそうなのだ。」
でぇじょうぶ博士
「やんすねぇ。しかも24歳で貸本屋経営...完全に資産家の御曹司でやんすね。おいらなんて24歳の時は研究室で寝泊まりして、カップ麺とエナジードリンクで生き延びてたでやんす。」
やきう
「ワイは24歳の今でもそんな生活やで。しかも研究すらしてへん。ただのニートや。」
ずん
「やきうの人生、完全にホラーなのだ...いや、ホラーというよりドキュメンタリーなのだ。」
でぇじょうぶ博士
「この作品、角川文庫キャラクター小説大賞の大賞受賞作家の新作でやんすか。賞レースってのは面白いでやんすね。おいらも学会でベストペーパー賞を狙ってるでやんすが...」
やきう
「誰も読まん論文でベストペーパー賞とか、誰も見てへん芸人がM-1優勝するようなもんやろ。」
ずん
「でもこの『春野薫久』さんって人が描いた表紙、気になるのだ。イラストレーターの実力で本の売上って変わるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「大いに変わるでやんす。人間は視覚情報に強く影響される生き物でやんす。表紙の魅力は、まるで美人が微笑むだけで罪が許されるのと同じ効果があるでやんす。」
やきう
「それ、完全に差別やん。ブサイクは何やっても許されへんってことか。世の中腐っとるわ。」
ずん
「やきうがブサイクなのは世の中のせいじゃなくて遺伝子のせいなのだ。」
でぇじょうぶ博士
「しかしこの増山明子さん、元書店員で出版プロデューサーとは...本のプロ中のプロでやんすね。その人が『なんか凄い……面白かった……』と言葉を失うほどとは、相当な作品でやんす。」
やきう
「本のプロが言葉失うって、職業放棄やん。それとも本当に凄すぎて語彙力奪われたんか。」
ずん
「きっと脳が幸福物質でいっぱいになって、言語野が機能停止したのだ!つまりこの本は合法ドラッグなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「...ずんの例え、いつも斜め上すぎて困るでやんす。でも確かに、極上の読書体験は脳内麻薬のようなもんでやんすね。おいらも論文読んで恍惚とすることがあるでやんす。」
やきう
「それ完全に病気やん。普通の人間は論文読んで恍惚とせえへんで。」
ずん
「ねぇねぇ、この『憧れの作家は人間じゃありませんでした』ってタイトルも気になるのだ。作家が人間じゃないってどういうことなのだ?AI?宇宙人?それとも...」
でぇじょうぶ博士
「気になるなら読めばいいでやんす。でもずんは最後まで読み切れないでやんすけどね。ずんの読書完遂率は、おいらのモテ率より低いでやんす。」
やきう
「つまりゼロってことやん。博士、自虐が過ぎるで。」
ずん
「うるさいのだ!ボクだって本くらい読めるのだ!...でも横浜の洋館に住んでる美青年と、家事代行の好青年の組み合わせ...これ完全にBL案件なのだ?」
でぇじょうぶ博士
「むむむ、確かにそういう読み方もできるでやんすね。しかし本作はゴースト・ストーリーでやんす。恋愛要素より怪異要素が強いと思われるでやんす。」
やきう
「どっちでもええわ。ワイには関係ない世界や。ワイの人生にはロマンスもミステリーもあらへん。あるのは絶望だけや。」
ずん
「やきうの人生こそ最大のミステリーなのだ。どうしてそこまで堕ちたのか、謎すぎるのだ。」
でぇじょうぶ博士
「この作品、累計150万部のシリーズを持つ作家の書き下ろし新作でやんすか...書き下ろしというのは作家にとって挑戦でやんすね。連載と違って読者の反応を見ながら調整できないでやんすから。」
やきう
「お前の論文も書き下ろしやろ。反応見てから書き直すとか、それ論文の改ざんやん。」
ずん
「でもさ、家事代行サービスの名前が『槙田まごころサポート』って、なんか昭和っぽいネーミングなのだ。今時『まごころ』とか使う?」
でぇじょうぶ博士
「逆に新鮮でやんすよ。現代は効率とか合理性ばかり重視されるでやんすから、『まごころ』という温かみのある言葉が逆に目立つでやんす。レトロフューチャー的な魅力でやんすね。」
やきう
「まごころとか言いながら時給1000円とかやったら笑うわ。まごころの安売りやん。」
ずん
「やきうはまごころどころか、なにごころもないのだ。あるのは邪心だけなのだ。」
でぇじょうぶ博士
「しかし社長の美波さん、『宝塚の男役さんみたい』と言われてるでやんすか。これは相当カッコいい女性でやんすね。おいらもそんな風に言われたいでやんす...『宝塚の...』」
やきう
「お前が言われるとしたら『宝塚の舞台装置みたい』やろな。動かんし喋らんし。」
ずん
「ひどいのだ!でも確かに博士、研究してる時は置物みたいになってるのだ...」
でぇじょうぶ博士
「研究に没頭してるだけでやんす!...ところで、この羽佐間紫織さん、自分の甥の家事を外注するって、現代的でやんすね。昔なら家族でやるのが当たり前だったでやんすが。」
やきう
「いや、24歳の男の家事を叔母がやる方がおかしいやろ。自立せえよって話や。」
ずん
「でも考えてみれば、やきうも実家で母親に家事してもらってるのだ...あ、これ以上言うとまた怒られるのだ。」
でぇじょうぶ博士
「この透さん、貸本屋を営んでるでやんすか。つまり本好きでやんすね。おいらも本好きでやんすが、おいらが読むのは全部技術書でやんす。小説なんて10年読んでないでやんす。」
やきう
「10年も読んでへんのに本好き名乗るな。お前はただのデータ中毒者や。」
ずん
「でもさ、貸本屋って今の時代に成立するビジネスモデルなのだ?サブスクの時代に、わざわざ本を借りに行く人いるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「そこに浪漫があるんでやんす!効率だけを追求したら、人生つまらないでやんす。非効率こそが人間らしさでやんす。おいらも非効率な研究手法にこだわってるでやんす。」
やきう
「それただの無能やん。効率化できへんだけやろ。」
ずん
「あのさ、この秋生って人、『快活な青年』って書いてあるのだ。ボクも快活になりたいのだ!どうすれば快活になれるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「まず部屋から出ることでやんす。ずんは1日の99%をベッドで過ごしてるでやんすからね。快活になる前に、まず活動するでやんす。」
やきう
「ワイも快活になりたいわ。でも快活になったら負けやと思っとる。社会の犬になりたくないねん。」
ずん
「やきうはもう社会の犬どころか、社会から見捨てられた野良犬なのだ。保健所案件なのだ。」
でぇじょうぶ博士
「...さて、そろそろまとめるでやんすが、この作品の魅力は異質な要素の組み合わせにあるでやんすね。家事代行×霊現象×貸本屋という、普通なら交わらない要素が見事に融合してるでやんす。」
やきう
「つまり、カオスってことやろ。ワイの部屋みたいなもんや。」
ずん
「やきうの部屋は融合じゃなくて崩壊なのだ。あと臭いのだ。近づきたくないのだ。」
でぇじょうぶ博士
「この作品、未読の方にこそおすすめでやんすね。澤村御影さんの魅力を存分に味わえる入門書的な位置づけでやんす。おいらも読んでみたくなったでやんす。」
やきう
「お前、読む時間あるんか?研究で忙しいんちゃうんか。」
ずん
「博士が読書する時間作るなら、ボクは昼寝する時間を作るのだ!...って、ボクはいつも昼寝してるのだった!完璧なのだ!」