ずん
「博士!首相が『台湾有事は存立危機事態』って言ったら中国が激怒して、結局『もう言わない』って修正したらしいのだ。これって完全に失言なのだ?」
やきう
「ワイからしたら、本音ポロっと言うたらビビって後退しただけやんけ。カッコ悪すぎて草も生えへんわ」
でぇじょうぶ博士
「むむむ、そう単純な話でもないでやんす。歴代政権は『存立危機事態になるかは個別具体的に判断』という玉虫色の答弁で逃げてきたでやんす。それを高市首相は『戦艦使った武力行使なら存立危機事態』と具体例を挙げちゃったでやんすからね」
ずん
「でも正直に答えただけじゃないのだ?何が問題なのだ?」
やきう
「お前アホか。外交ってのはポーカーと一緒や。手札見せたら負けるんやで」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。『手の内を明かす』ことで、中国に日本の介入ラインを教えてしまったでやんす。まるで『この線を越えたら殴るぞ』って事前に宣言するようなもんでやんすね」
かっぱ
「せやけど、曖昧にしとく方が抑止力になるんちゃうんか?」
でぇじょうぶ博士
「そこが難しいところでやんす。曖昧すぎると『日本は本気で介入しない』と舐められる。具体的すぎると『じゃあその一歩手前までやればいい』と思われる。綱渡りでやんすね」
ずん
「じゃあ結局、首相は正しかったのか間違ってたのか、どっちなのだ?」
やきう
「どっちもやろ。言うてること自体は政府見解と矛盾してへん。けど、このタイミングで明言したのがアカンかったんや」
でぇじょうぶ博士
「特に問題なのは、台湾で民進党が不調で、親中派の国民党が返り咲く可能性があるこの時期でやんす。まるで燃えやすい材料が積まれた部屋でライターをチラつかせるようなもんでやんす」
かっぱ
「ほんで中国は『一つの中国』原則の違反やって怒っとるわけやな」
でぇじょうぶ博士
「中国からすれば『台湾は国内問題。他国が軍事介入するとか言うな』という理屈でやんす。でも日本からすれば『台湾海峡の安定は日本の安全保障に直結する』という事実もあるでやんす」
ずん
「でも首相は撤回してないんだよね?『もう言わない』って言っただけで」
やきう
「そこが一番ダサいとこやな。言うたことは間違ってへんって主張しながら、中国にビビって『もう言いません』って。どっちつかずの態度やんけ」
でぇじょうぶ博士
「ある意味、日本外交の伝統芸でやんすね。『言ったことは正しい。でも今後は言わない』という、謝罪してるんだかしてないんだか分からない微妙な着地でやんす」
かっぱ
「けど、これで日中関係悪化するんちゃうん?」
でぇじょうぶ博士
「すでに中国は『厳正な申し入れと強烈な抗議』を行ったでやんす。でも、これも外交の定番でやんすね。『不快感は示したけど、関係は続ける』というやつでやんす」
ずん
「なんか全部が曖昧で煮え切らないのだ。はっきりさせればいいのに」
やきう
「お前な、外交ではっきりさせるってのは戦争覚悟やぞ。曖昧さこそが平和を保つ知恵なんや」
でぇじょうぶ博士
「実は今回の件、日本国内でも『言い過ぎ』派と『当然のこと』派に分かれてるでやんす。自民党内でさえ、旧安倍派は『台湾防衛は当然』、慎重派は『刺激するな』と割れてるでやんす」
でぇじょうぶ博士
「大いにあるでやんす。維新は比較的タカ派的な主張をするでやんすから、高市首相としては連立パートナーへの配慮もあったかもしれないでやんすね」
ずん
「つまり、国内向けに強気を見せようとして、中国を怒らせちゃったってこと?」
でぇじょうぶ博士
「ただし、アメリカは日本の台湾関与を期待してるでやんす。バイデン政権は『台湾を守る』と何度も明言してるでやんすからね」
かっぱ
「せやったら、アメリカに合わせとけばええやん」
でぇじょうぶ博士
「ところが、おいらたちは中国とも経済的に深く結びついてるでやんす。貿易相手国として中国は無視できない存在でやんす。まるで離婚できない夫婦みたいなもんでやんすね」
ずん
「結局、誰も得してないじゃないか!何のための発言だったのだ?」
やきう
「政治家の自己満足やろ。『俺は毅然としてる』アピールや」
でぇじょうぶ博士
「辛辣でやんすね。でも、今回の件で分かったのは、日本政府内でも台湾有事への対応方針が完全には固まってないということでやんす」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんす。『首相個人の見解』という形で逃げ道を作ったでやんす。まるで学生が『これは僕の個人的な意見です』って予防線張るようなもんでやんすね」
ずん
「今後はどうなるのだ?また同じこと聞かれたら?」
やきう
「『個別具体的に判断する』って呪文唱えて逃げるんやろ。今まで通りや」
でぇじょうぶ博士
「ただし、一度明言してしまった以上、『本音は介入する気がある』というメッセージは伝わったでやんす。中国もそれは理解してるでやんすよ」
でぇじょうぶ博士
「どうでやんすかね。抑止力としては機能したかもしれないでやんすが、日中関係に不必要な緊張をもたらしたのも事実でやんす」
ずん
「なんか外交って面倒くさいのだ。ボクだったら全部AIに任せちゃうのだ」
やきう
「お前が任せたAI、速攻で戦争始めそうやな」
でぇじょうぶ博士
「AIの判断は論理的すぎて、人間関係の機微が分からないでやんすからね。外交には『言わない技術』も必要でやんす」
ずん
「じゃあ結局、今回の教訓は『余計なことは言うな』ってこと?」
かっぱ
「けど有権者は『はっきり言ってくれ』って思とるやろ?」
でぇじょうぶ博士
「そこが民主主義の難しいところでやんす。透明性と外交の秘密主義は両立しにくいでやんすからね」
ずん
「なんだかモヤモヤするのだ。スッキリした答えが欲しいのだ!」
やきう
「そのモヤモヤこそが外交の本質や。スッキリした答えなんて存在せえへん」
でぇじょうぶ博士
「強いて言えば、今回の件は『政治家の発言には外交的配慮が不可欠』という当たり前のことを再確認させたでやんすね」
でぇじょうぶ博士
「それは確かでやんす。言葉の戦争で済んでるうちはまだ平和でやんすからね」
ずん
「ボクも将来偉くなったら、もっと上手に外交するのだ!」
やきう
「お前が偉くなる頃には、多分AIが全部やっとるわ」
ずん
「...それって、ボクの出番ないってことじゃないのだ!?なら今のうちから『余計なこと言わない訓練』しとくのだ!」