# ディスカッション
職場の「ちゃん付け」セクハラ判決を巡って
ずん
「職場で『ちゃん付け』したら22万円取られるのだ!もう日本終わってるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「やれやれ、ずん君は本質を見誤ってるでやんす。これは単なる『ちゃん付け』の話じゃないでやんすよ。」
やきう
「せやな。でも550万請求して22万って、弁護士費用のほうが高いんちゃうか?」
ずん
「え、そうなのだ?じゃあ勝ったけど負けみたいなもんなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「金額の問題じゃないでやんす。これは『職場での人格尊重』という概念が司法で認められた画期的な判決でやんすよ。」
やきう
「画期的?ワイには言葉狩りにしか見えんけどな。次は『さん付け』も駄目になるんちゃうか。」
でぇじょうぶ博士
「それは極論でやんす。判決文をよく読めば、『繰り返し』『本人の意に反して』という要件があるはずでやんす。」
でぇじょうぶ博士
「そういう単純な話でもないでやんす。相手との関係性、職場環境、注意されたのに続けたか、といった総合的判断でやんすよ。」
やきう
「面倒臭すぎやろ。もう職場では『おい、そこのお前』って呼ぶしかないやんけ。」
ずん
「それこそパワハラって言われそうなのだ...」
でぇじょうぶ博士
「まさにそこでやんす。日本の職場は『呼び方』に対する感覚がアップデートできてないんでやんすよ。欧米なら基本ファーストネームかミスター・ミズ付けで解決でやんす。」
やきう
「欧米かぶれか。日本には日本の文化があるんやで。『ちゃん付け』は親しみの表現やろ。」
でぇじょうぶ博士
「それは加害者側の論理でやんす。『親しみ』と『馴れ馴れしさ』は紙一重。しかも年上の男性が年下の女性に一方的に使うのは、明らかに権力勾配が働いてるでやんすよ。」
ずん
「難しいのだ...じゃあ博士は職場でなんて呼ばれてるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「...話を戻すでやんす。この判決の重要なポイントは、金額じゃなく『認定された』という事実でやんす。今後の同様のケースで判例として機能するでやんすからね。」
やきう
「つまり訴訟ビジネスのネタが増えたってことやな。弁護士ウハウハやん。」
でぇじょうぶ博士
「そんな皮肉な見方もできるでやんすが、実際には泣き寝入りしていた被害者にとっては希望の光でやんすよ。『ちゃん付け』の背後には、もっと深刻なハラスメントが隠れてることも多いでやんす。」
ずん
「じゃあこれから職場ではどう呼べばいいのだ?」
でぇじょうぶ博士
「簡単でやんす。本人に聞くでやんす。『どうお呼びすればいいですか?』って。コミュニケーションの基本でやんすよ。」
やきう
「そんなん聞くのも気まずいやろ。『あなた様』とでも呼べっちゅうんか。」
でぇじょうぶ博士
「だからこそ、最初の自己紹介で『◯◯さんでお願いします』って言っとけば済む話でやんす。それすらできない職場文化が問題なんでやんすよ。」
やきう
「まあ確かに、ワイも『やきう』って呼ばれたくないしな。本名は—」
でぇじょうぶ博士
「この判決で面白いのは、被告が『佐川急便の元同僚』という点でやんす。物流業界は人手不足で、職場環境改善が急務でやんすからね。企業としても無視できない判決でやんす。」
やきう
「人手不足なのに、こんなんで訴えられたら余計に人おらんくなるやん。」
でぇじょうぶ博士
「逆でやんす。ハラスメントが横行する職場だから人が辞めるんでやんすよ。因果関係を取り違えてるでやんす。」
ずん
「なるほど...でもボクの職場、みんな『ちゃん付け』し合ってるのだ。これ全員訴え合ったらどうなるのだ?」
やきう
「地獄絵図やな。弁護士だけが儲かる世界や。」
でぇじょうぶ博士
「双方の合意があれば問題ないでやんす。今回のケースは『一方的』で『繰り返し』で『やめるよう求めたのに続けた』というのがポイントでやんすよ。」
でぇじょうぶ博士
「空気じゃなく、相手の意思を尊重するってことでやんす。これが理解できない人が多すぎるのが日本社会の病巣でやんすねぇ。」
やきう
「博士、さっきから説教臭いで。モテない理由がよう分かるわ。」
でぇじょうぶ博士
「...おいらは研究に集中してるだけでやんす。」
ずん
「でも博士、これって結局『何が正解か分からない』から、みんな怖がって距離取るようになるんじゃないのだ?」
でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんす。確かにハラスメント対策が進むと、過剰に萎縮する副作用もあるでやんすね。でも、それは過渡期の現象でやんす。最終的には健全なコミュニケーションが根付くでやんすよ。」
やきう
「理想論やな。現実は殺伐とした職場が増えるだけや。『おはようございます』『お疲れ様です』だけで一日終わるんちゃうか。」
でぇじょうぶ博士
「ずん君らしい結論でやんすねぇ...でも、本当の意味での『働きやすさ』は、お互いを尊重した上での適度な距離感でやんす。ちゃん付けできない=親密になれない、というのは短絡的でやんすよ。」
やきう
「まあ、ワイは最初から誰とも親密になる気ないけどな。職場は金稼ぐ場所や。」
やきう
「全然。むしろ清々しいわ。人間関係とかいう不確定要素に左右されんで済むしな。」
でぇじょうぶ博士
「それはそれで一つの生き方でやんすが、人間は社会的動物でやんすからねぇ。完全に孤立すると精神衛生上よろしくないでやんすよ。」
ずん
「じゃあ博士はどうなのだ?モテないって言ってたけど、職場に友達いるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「...おいらには研究仲間がいるでやんす。それで十分でやんす。」
でぇじょうぶ博士
「と、ともかく!今回の判決は22万円という金額以上に、社会的メッセージ性が強いでやんす。『職場での人格尊重』という価値観が司法のお墨付きを得たわけでやんすからね。」
やきう
「でも実際、この女性は職場におれんようになったんちゃうか?『あの訴えた人』って目で見られるやろ。」
でぇじょうぶ博士
「それこそが二次被害でやんす。日本社会の『波風立てるな』という同調圧力が、ハラスメント被害者を追い詰めるんでやんすよ。だからこそこういう判決が必要なんでやんす。」
やきう
「理屈は分かるけど、現場はそう単純やないで。訴えられた側の人生も終わるかもしれんのやぞ。」
でぇじょうぶ博士
「だから最初から相手を尊重すればいいだけの話でやんす。注意されたらやめる。それだけでやんすよ。」
ずん
「でも『ちゃん付け』程度でここまで大事になるって、なんか生きづらい世の中なのだ...」
やきう
「ホンマそれな。次は『お前』って呼んだら訴えられるんちゃうか。」
でぇじょうぶ博士
「実際、『お前』呼びも状況によっては十分ハラスメントでやんす。相手を下に見る言葉遣いでやんすからね。」
ずん
「じゃあもう番号で呼ぶのだ!1番さん、2番さんって!」
でぇじょうぶ博士
「それこそディストピアでやんす...」
やきう
「でも案外、そうなるかもな。企業が社員番号で呼び合うように指示するとか。」
ずん
「それはそれで機械的すぎて嫌なのだ!結局どうすればいいのだ!?」
でぇじょうぶ博士
「だから、相手に聞けと何度も言ってるでやんす。『◯◯さん』が無難でやんすが、本人が『◯◯ちゃんでいいよ』と言えばそれでいいでやんす。同意があるかないかが全てでやんすよ。」
やきう
「でも一回同意したあとに『やっぱ嫌です』って言われたらどうすんねん。」
でぇじょうぶ博士
「変更すればいいだけでやんす。人間の気持ちは変わるもんでやんすからね。それに対応できない方がおかしいでやんすよ。」
ずん
「なんか面倒くさいのだ...もうボク、誰とも関わらずに生きたいのだ。」
ずん
「...ボクはエリート会社員なのだ(震え声)」
でぇじょうぶ博士
「まあ、今回の判決で一番得したのは、これからハラスメント対策セミナーで食っていけるコンサルタントでやんすかねぇ。」
ずん
「じゃあボクもハラスメント対策コンサルタントになるのだ!楽して稼げそうなのだ!」
でぇじょうぶ博士
「ずん君がハラスメント対策を語るのは、タバコ屋が禁煙指導するようなもんでやんす。」
やきう
「むしろずんがおったら、そこがハラスメント発生源になるやろ。」
ずん
「ひどいのだ...でも確かに、ボクは職場で『ずんちゃん』って呼ばれてるのだ。これ訴えたら22万もらえるのだ?」