ずん
「ねぇねぇ、年末の大掃除で捨てるもの全部売ったら71万円になるらしいのだ!ボク、今すぐ実家に帰って親の荷物売ってくるのだ!」
やきう
「お前、それ親の物やろが。泥棒やんけ。まぁワイも昔、親父のゴルフクラブ売ろうとしたことあるけどな。」
でぇじょうぶ博士
「やれやれ...。まず前提を説明するでやんす。この71万円というのは、家庭全体の平均値でやんす。一人当たりだと8万9000円でやんすね。」
ずん
「8万9000円でも十分なのだ!ボクの部屋のガラクタ全部売れば、新しいゲーム機買えるのだ!」
やきう
「甘いで。お前の部屋にあるもん、全部ゴミやろ。誰が買うねん。」
でぇじょうぶ博士
「実は、そこがポイントでやんす。メルカリが『捨てられそうなお宝ミュージアム』なんてものを作ったのは、人々が『これゴミでしょ』と思ってるものに意外な価値があることを示すためでやんす。」
ずん
「じゃあボクの10年前のアニメグッズも売れるのだ?」
やきう
「それな、むしろ今が売り時やで。オタクの世界は需要と供給がぐちゃぐちゃやからな。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。時代の変化が追い風になってるんでやんす。昔は『中古品=恥ずかしい』という感覚があったでやんすが、今はSDGsだのサステナブルだの、環境意識の高まりで中古品取引が市民権を得たでやんすね。」
ずん
「つまり、ゴミを売ることが正義になったということなのだ!」
やきう
「正義とか大層なこと言うなや。結局、みんな金が欲しいだけやろ。環境とか後付けの理由や。」
でぇじょうぶ博士
「まぁ、否定はできないでやんすね。でも動機が何であれ、結果的にリサイクルが進むなら社会的にはプラスでやんす。偽善も継続すれば本物になるでやんすよ。」
ずん
「でも博士、なんで今になって急にこんな話題になってるのだ?前からフリマアプリはあったのだ。」
でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんす、ずん。実は、コロナ禍で家にいる時間が増えて断捨離ブームが起きたのと、物価高で副収入を求める人が増えたのが重なったでやんす。まるで台風と低気圧が合体して爆弾低気圧になるようなもんでやんす。」
やきう
「なるほどな。不況になると質屋が儲かるってやつやな。現代版が質屋からフリマアプリになっただけや。」
ずん
「じゃあボクも今すぐ出品するのだ!何を売ればいいのだ?」
でぇじょうぶ博士
「ちょっと待つでやんす。何でも売れるわけじゃないでやんすよ。意外と高値がつくのは、廃盤になったゲーム機とか、昔の漫画全巻セットとか、ブランド物の空き箱なんかでやんす。」
でぇじょうぶ博士
「転売屋が商品を売る時に箱が必要だったり、コレクターが完品にこだわったりするでやんす。おいらから見れば、まるで空気を売ってるようなもんでやんすが、需要があるんでやんすよ。」
ずん
「なんだか、世の中おかしくなってきてるのだ...。」
やきう
「今さら何言うとんねん。昔から資本主義社会はおかしいで。ダイヤモンドとか、ただの石ころやん。」
でぇじょうぶ博士
「まぁ、価値というのは主観的なものでやんすからね。経済学的には、需要と供給で価格が決まるだけでやんす。合理性なんて二の次でやんす。」
ずん
「じゃあ、ボクが『これは価値がある!』って言い張れば売れるのだ?」
でぇじょうぶ博士
「でも、面白いことに、フリマアプリの普及で『価値の民主化』が起きてるでやんす。昔は鑑定士や業者が決めてた価値を、今は一般人が決めるようになったでやんす。」
やきう
「いいわけないやろ。素人が値段決めるから、相場がめちゃくちゃや。プロが泣いとるで。」
でぇじょうぶ博士
「まぁ、確かに混乱はあるでやんすが、一方で市場の透明性は上がったでやんす。昔はリサイクルショップが二束三文で買い叩いてたものが、今は適正価格で取引されるようになったでやんす。」
ずん
「なるほどなのだ。でも、71万円って本当に現実的な数字なのだ?盛ってないのだ?」
でぇじょうぶ博士
「いい質問でやんす。これはあくまで『売却した場合の価値』でやんすから、実際に売れるかどうかは別問題でやんす。写真撮って、説明文書いて、発送して...という手間を考えると、時給換算で赤字になることも多いでやんす。」
やきう
「せやな。ワイも昔、500円の本売るのに1時間かけたことあるわ。完全に時間の無駄やった。」
でぇじょうぶ博士
「そこは考え方次第でやんす。お金だけで見れば割に合わないこともあるでやんすが、断捨離のモチベーションになったり、環境に貢献してる実感が得られたり、副次的な効果もあるでやんす。」
やきう
「きれいごと言うなや。結局みんな金目当てやろ。」
ずん
「でもやきう、お前も昔売ってたって言ってたのだ。」
でぇじょうぶ博士
「ところで、この不用品バブルには終わりが来るでやんすかね?」
やきう
「当たり前やろ。バブルはいつか弾けるもんや。みんなが売り始めたら供給過多になって、価格暴落するで。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。既に一部のジャンルでは飽和状態でやんす。特に服や本なんかは、もう売れないものも増えてきてるでやんすね。」
ずん
「じゃあ、今のうちに売っといた方がいいのだ!」
やきう
「お前、さっきから売る売る言うてるけど、何も持ってへんやろ。」
ずん
「...ボク、これから物を買って、それをすぐ売ればいいのだ!転売ヤーになるのだ!」
でぇじょうぶ博士
「それは本末転倒でやんす...。」
やきう
「アホか。転売で儲かる時代はもう終わっとるわ。みんな同じこと考えるから、競争激化や。」
ずん
「むぅ...じゃあ、どうすればいいのだ...」
でぇじょうぶ博士
「結局のところ、『不用品が資産』というのは半分本当で半分誇張でやんす。確かに価値はあるでやんすが、それを現金化するには手間とコストがかかるでやんす。71万円という数字に踊らされないことが大切でやんすね。」
やきう
「せや。メルカリも商売やからな。煽って出品させて、手数料稼ぐのが目的や。」
ずん
「なんだ、結局企業の策略なのだ?ボク、騙されてたのだ!」
でぇじょうぶ博士
「騙されてたというより、Win-Winの関係でやんす。企業は手数料を得て、利用者は不用品を現金化できて、買い手は安く商品を手に入れられる。三方良しでやんすよ。」
ずん
「でも博士、これからどうなるのだ?このブームは続くのだ?」
でぇじょうぶ博士
「難しい質問でやんすね。おいらの見立てでは、フリマアプリ自体は定着するでやんすが、『何でも高く売れる』という幻想は消えていくでやんす。結局、本当に価値のあるものだけが取引される、健全な市場になっていくでやんすよ。」
やきう
「つまらん結論やな。もっと夢のある話できへんのか。」
ずん
「そうなのだ!ボクは一攫千金を夢見てたのだ!」
でぇじょうぶ博士
「夢を見るのは自由でやんすが、現実を見ることも大事でやんす。大掃除のついでに小遣い稼ぎができる、くらいに考えておくのが賢明でやんすよ。」
ずん
「はぁ...結局、楽して稼ぐ方法なんてないのだ...」
やきう
「当たり前やろ。あったらワイがとっくにやっとるわ。」
ずん
「じゃあ、ボクはこのまま貧乏なのだ...71万円の夢は終わったのだ...」
でぇじょうぶ博士
「ちょ、ちょっと待つでやんす。そんなに落ち込まなくても...」
ずん
「もういいのだ。ボク、大掃除もしないで、このまま部屋でゴミに囲まれて生きていくのだ。それが一番コスパいいのだ。将来、ゴミ屋敷として71万円で売ればいいのだ!」