ずん
「台湾の映画なのだ。でも制服を交換して『本物』になるって、なんか切ないのだ...これは『偽物症候群』が社会全体に蔓延している証なのだ!」
でぇじょうぶ博士
「偽物症候群でやんすか。まさに台湾の教育制度が生んだ、合法的な身分差別でやんすね。同じ学校なのに『ニセモノ』扱いとは、えげつないでやんす。」
やきう
「ワイの会社にもおるわ。正社員と契約社員で同じ仕事しとるのに、扱い全然ちゃうやつ。これと一緒やな。」
でぇじょうぶ博士
「やんすね。夜間部というのは、まるでジェネリック医薬品みたいなもんでやんす。効果は同じなのに、なぜか『本物じゃない』って目で見られるでやんす。」
ずん
「でも制服を交換したら『本物』になれるって、コスプレと何が違うのだ?」
やきう
「それな。結局、人間なんて見た目で判断しとるだけやんけ。中身なんてどうでもええってことやろ。」
でぇじょうぶ博士
「鋭いでやんすね。この映画が描いているのは、まさに『記号としてのアイデンティティ』でやんす。制服という記号を着替えるだけで、自己肯定感が変わるという皮肉でやんす。」
ずん
「じゃあボクも東大の制服着たら天才になれるのだ?」
やきう
「お前が着ても職質されるだけやろ。不審者として。」
でぇじょうぶ博士
「まあ、この映画の脚本家さんは中年になってから娘の受験で過去を思い出したそうでやんすが、これは興味深いでやんす。トラウマってのは、時間が経っても消えないどころか、世代を超えて再生産されるでやんすからね。」
ずん
「え?じゃあボクの子供もボクみたいなダメ人間になっちゃうのだ?」
やきう
「お前に子供ができる確率より、ワイが総理大臣になる確率の方が高いで。」
でぇじょうぶ博士
「90年代の台湾という設定も重要でやんす。あの時代は台湾が民主化して経済発展する一方で、教育格差が固定化し始めた時期でやんす。夜間部というシステム自体が、経済格差を反映した制度でやんすからね。」
ずん
「むぅ...じゃあ貧乏人は昼間働いて夜に勉強しろってことなのだ?それって奴隷制度じゃないのだ?」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。建前は『教育機会の平等』でやんすが、実態は『貧乏人にも教育を与えてやるが、一流扱いはしない』という階級制度でやんす。」
やきう
「でも同じ男を好きになるってとこがミソやな。結局、恋愛だけは平等なんやろ?」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、それも罠でやんす。同じ男を好きになることで、二人の友情が壊れる構造になってるでやんす。つまり、システムに抑圧された者同士が連帯するのではなく、同じパイを奪い合う構図でやんす。」
ずん
「うわぁ...それって完全に『分断統治』なのだ!為政者の思う壺なのだ!」
やきう
「急に政治的になるなや。お前、選挙権すら持っとらんやろ。」
でぇじょうぶ博士
「この映画のタイトル『ひとつの机、ふたつの制服』も絶妙でやんす。机は共有するけど、制服は違う。つまり、物理的な空間は同じでも、社会的な立場は異なるという矛盾を象徴してるでやんす。」
ずん
「じゃあボクも会社で社長の椅子に座ったら社長になれるのだ?」
やきう
「お前、さっきから学習能力ゼロやな。その発想、小学生以下やで。」
でぇじょうぶ博士
「まあ、この映画が今の時代に公開される意味も大きいでやんす。SNS時代の今、誰もが『本物』であることを求められ、『偽物』扱いされることを恐れてるでやんすからね。インスタ映えもマウンティングも、全部この『本物コンプレックス』の現れでやんす。」
ずん
「確かに...ボクもTwitterで『エリート会社員』って名乗ってるけど、実際は引きこもりニートなのだ...」
でぇじょうぶ博士
「脚本家のフイファンさんが『脚本を書くことで癒された』と言ってるのも深いでやんす。つまり、トラウマを芸術作品に昇華することで、初めて自己肯定できるようになったということでやんす。」
ずん
「じゃあボクもボクのダメ人生を映画にすればいいのだ!『ひとつの布団、ふたつのエロゲー』とか!」
でぇじょうぶ博士
「しかし、90年代という時代設定も興味深いでやんす。インターネットもスマホもない時代だからこそ、『手紙のやり取り』という純粋なコミュニケーションが成立したでやんす。今だったらLINEで即バレして終わりでやんすからね。」
ずん
「確かに...今の時代だったら、制服交換した瞬間にインスタにあげられて炎上なのだ。『#制服詐欺』ってハッシュタグつけられて社会的に抹殺されるのだ。」
やきう
「お前、たまにはまともなこと言うやんけ。でも結局、この映画が伝えたいのは『若さゆえの過ち』を美化しとるだけちゃうんか?」
でぇじょうぶ博士
「鋭い指摘でやんす。確かに、ノスタルジーには危険性があるでやんす。『あの頃は良かった』という感傷は、現実逃避の一種でやんすからね。でも、この映画はそこを超えて、『コンプレックスと向き合う』という普遍的なテーマを描いてるでやんす。」
ずん
「むぅ...でもボクは今でもコンプレックスだらけなのだ。これってボクが成長してないってことなのだ?」