ずん
「億万長者が勝手に地球の気温いじり始めるとか、もはや神の所業なのだ!」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんすね。まさに現代版のイカロスでやんす。ただし、太陽に近づくんじゃなくて、太陽光を遮断する方向でやんすけど。」
やきう
「ワイ、このT.Rとかいうオッサンの発想は嫌いやないで。結局、国際会議とかでグダグダ話し合っとる間に地球沈むんやったら、金持ちが勝手にやったほうが早いやん。」
ずん
「でも不動産の価値上げるためにやってるんでしょ?それって完全に私利私欲じゃないのだ?」
でぇじょうぶ博士
「まあ、動機が不純でも結果が良ければいいという考え方もあるでやんす。ただし、『良い結果』の定義が国によって違うのが問題でやんすけどね。」
かっぱ
「ちょい待ち。成層圏に硫黄撒くって、火山の噴火と同じことやるんやろ?それって副作用エグいんちゃうん?」
でぇじょうぶ博士
「鋭いでやんす、かっぱ殿。1991年のピナトゥボ火山の噴火では、確かに地球の平均気温が0.5度下がったでやんすが、同時に各地で異常気象も発生したでやんす。」
ずん
「じゃあこれ、下手したら気候変動より酷いことになるってことなのだ!?」
やきう
「いや待てや。どのみち何もせんかったら海に沈むんやろ?やってダメならやらんでもダメやったってことやん。」
でぇじょうぶ博士
「それが『ターミネーション・ショック』の恐ろしさでやんす。一度始めたら止められない。止めた瞬間、溜まってた気候変動が一気に襲ってくるでやんす。まるで借金の返済を先延ばしにしてたら、利子が雪だるま式に膨らんでいくようなもんでやんす。」
かっぱ
「要するに対症療法やから、根本解決にならんのやな。風邪薬飲んで熱下げても、ウイルスは消えへんのと一緒や。」
ずん
「でもさ、このT.Rって人、他の国が攻めてくるの想定して準備してるんでしょ?もう戦争じゃないのだ。」
でぇじょうぶ博士
「実際、気候をいじるのは新しい戦争の形でやんすよ。中国やインドからすれば、自分たちの許可なく勝手に気候変動させられるのは、領空侵犯どころの話じゃないでやんす。」
やきう
「ワイが中国やったら即座に特殊部隊送り込んで施設破壊するわ。っていうか、この小説冒頭40ページも豚の話とか、作者アホやろ。」
かっぱ
「お前が我慢できんだけやろ。SF読みは細部の描写に悦ぶもんなんや。」
ずん
「でもこれ、結局誰が正しいとかないよね。オランダは海面上昇で困ってるから賛成、インドは気候変わるかもで反対...全員の言い分が正しいのだ。」
でぇじょうぶ博士
「そこが本作の肝でやんすね。『人間を動かす物語の力』がテーマになってるでやんす。客観的な事実より、各国が信じる『物語』のほうが強いでやんす。」
やきう
「結局、人類って物語に踊らされる猿ってことか。科学的根拠とかどうでもええんやな。」
かっぱ
「まあ冷静に考えたら、個人が地球の気温いじるとか、SF通り越してホラーやけどな。」
ずん
「ねえねえ、じゃあ実際にこういうことが起きたら、ボクたちはどうすればいいのだ?」
でぇじょうぶ博士
「簡単でやんす。高台に引っ越すか、泳ぎを習うか、T.Rに投資するかの三択でやんす。」
やきう
「どれも嫌やわ。ワイは部屋でネット見てるほうがマシや。」
ずん
「結局のところ、この小説が伝えたいのは『気候変動ヤバい』ってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「いや、むしろ『人類の選択肢がもうヤバい領域に入ってる』ってことでやんすね。普通の対策じゃ間に合わないから、こんな荒技に頼らざるを得ないという絶望でやんす。」
やきう
「絶望しかなくて草。まあ、ワイらが生きてる間は大丈夫やろ。後は若い世代に任せたわ。」
ずん
「でもさ、この小説読んだら気候変動について詳しくなれるの?」
でぇじょうぶ博士
「詳しくなれるでやんすが、その前に700ページ以上の濃密な技術描写に耐える忍耐力が必要でやんす。冒頭の豚の話で挫折する人が続出するでやんすよ。」
ずん
「じゃあボク、要約サイトで済ますのだ!ていうか、気候変動心配する前に、まず明日の昼飯何食べるか心配したほうがいいのだ!」