ずん
「新品が数百円で買えるのだ!?ボク、今すぐ服のタカハシに住み着くのだ!」
やきう
「住むな。お前みたいなのが店で寝泊まりし始めたら、それこそ商品価値ゼロになるわ。」
でぇじょうぶ博士
「オフプライスストアでやんすね。簡単に言えば、ブランドの在庫処分市場でやんす。メーカーが『売れ残っちゃった☆テヘペロ』って商品を格安で卸すシステムでやんす。」
ずん
「でも待つのだ。ユニクロやしまむらより安いって、もう服じゃなくてただの布切れなんじゃないのだ?」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、むしろ品質は悪くないでやんす。定価8000円のブランド品が800円になってるケースもあるでやんすからね。ただし、サイズや色は選べない『服ガチャ』状態でやんすけど。」
ずん
「ガチャ!?じゃあSSRみたいな掘り出し物もあるのだ!?」
やきう
「あるわけないやろ。あってもお前のサイズに限ってXXXLの蛍光ピンクのタンクトップとかやで。」
でぇじょうぶ博士
「実はこの業態、1970年代からあったでやんす。でも2018年頃から急激に店舗数が増えてるでやんすね。なぜかというと、ファッション業界の『作りすぎ問題』が深刻化してるからでやんす。」
ずん
「作りすぎって、そんなに服が余ってるのだ?みんな裸で歩いてるわけじゃないのに?」
やきう
「お前の理屈、小学生以下で草。需要予測ミスって在庫が山積みになっとるんやで。」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんす。特にファストファッションは『トレンド予測』というギャンブルをやってるでやんすからね。外れたら大量の売れ残りでやんす。それを焼却処分してたら環境破壊になるし、SDGs的にアウトでやんすから、オフプライスストアに流すようになったでやんす。」
ずん
「じゃあボクが服のタカハシで買い物すれば、地球を救えるってことなのだ!?」
やきう
「お前が買い物せんでも地球は回っとるし、むしろお前が余計な消費せん方が環境にええわ。」
でぇじょうぶ博士
「でもずん君の指摘は半分正解でやんす。余剰在庫の再流通は、確かに環境負荷の軽減になるでやんすからね。ただし根本的には『最初から作りすぎない』ことが重要でやんすけど。」
ずん
「ところで博士、『服との一期一会』って記事にあったのだ。これって運命の出会いってことなのだ?」
やきう
「違うわ。『二度と同じ商品に会えへん』って意味やで。お前、試着室で迷ってる間に他の客が買っていくんや。まさに人生そのものやな。」
でぇじょうぶ博士
「やんすね。在庫管理システムもないから、『あ、これいいな』と思ったら即決しないと消えるでやんす。まるでおいらの青春時代のようでやんす...一度も来なかったでやんすけど。」
ずん
「博士...慰めてあげたいけど、ボクも似たようなものなのだ...」
でぇじょうぶ博士
「ちなみに、Yahoo!ニュースの調査では『価格重視』が42.4%でトップでやんす。つまり日本人の半数近くが『安けりゃ何でもいい』状態でやんすね。経済的余裕のなさが如実に表れてるでやんす。」
ずん
「じゃあボクが貧乏なのは時代のせいってことなのだ!社会が悪いのだ!」
やきう
「責任転嫁の天才かよ。お前の場合は単純に働いてへんだけやろ。」
でぇじょうぶ博士
「でもまあ、『SHEINは品質が悪い』『ユニクロ古着は抵抗ある』という声がある中で、『新品なのに激安』というオフプライスストアは、消費者心理にドンピシャでやんすね。ゲオやワールドみたいな大手も参入してるのがその証拠でやんす。」
ずん
「じゃあこれからの時代は、オフプライスストアが覇権を取るのだ!?」
やきう
「覇権も何も、結局『安物買いの銭失い』の変形版やんけ。数百円で買った服、3回洗ったらヨレヨレになるで。」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、元々がブランド品でやんすから品質は悪くないでやんすよ。問題は『欲しいものが見つかるか』という運ゲー要素でやんすね。サイズもデザインも在庫次第でやんすから。」
ずん
「運ゲー...つまりボクの人生と同じってことなのだ...」
やきう
「お前の人生、運ゲーですらないわ。ハズレ確定のクジやで。」
でぇじょうぶ博士
「まあ冗談はさておき、この市場が伸びてる背景には、日本人の『コスパ至上主義』があるでやんす。バブル崩壊以降、『いいものを安く』から『安ければなんでもいい』に価値観がシフトしてるでやんすね。」
ずん
「でもさ、最大9割引きって、元の値段が詐欺なんじゃないのだ?定価8000円が800円になるって、原価いくらなのだ?」
やきう
「お、珍しくまともな指摘やん。でも原価なんて2割以下やで。残りは広告費とか店舗運営費や。」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんす。ファッション業界の原価率は10〜30%程度でやんすからね。つまり8000円の服の原価は800〜2400円程度。それが800円で売られてても、在庫処分できれば赤字よりマシという判断でやんす。」
ずん
「じゃあボクたちは、ブランドの失敗の後始末をさせられてるってことなのだ...」
やきう
「失敗の後始末?いや、お前はただの消費者やろ。何様のつもりやねん。」
でぇじょうぶ博士
「でもずん君の感覚は間違ってないでやんす。オフプライスストアは『企業の在庫リスクを消費者が低価格で引き受ける』システムでやんすからね。Win-Winといえば聞こえはいいでやんすが。」
ずん
「Win-Win...ボク、負けてる気がするのだ...」
やきう
「お前の人生、いつもLose-Loseやろ。今さら何言うとんねん。」
でぇじょうぶ博士
「ちなみに、『しまパト』ならぬ『タカハシパトロール』なんて言葉も生まれてるでやんすよ。週に何度も店に通って掘り出し物を探すマニアがいるでやんす。」
ずん
「パトロール...つまり、服を買うために時間と交通費をかけるのだ?それってコスパ悪くないのだ?」
やきう
「やっとまともなこと言うたな。時給換算したら普通に定価で買った方がマシやで。」
でぇじょうぶ博士
「でも『宝探し感覚』という体験価値があるでやんすからね。ゲーミフィケーションでやんす。500円で買った服より、『元8000円の服を500円で買えた!』という優越感の方が価値があるでやんす。」
ずん
「優越感...ボク、そういうの欲しいのだ!明日から毎日パトロールするのだ!」
やきう
「お前、仕事は?あ、してなかったわ。すまんな。」
ずん
「...ボク、急にオフプライスストアで働きたくなってきたのだ。社員割引で更に安く買えるんじゃないのだ!?」