ずん
「なんか難しそうな話なのだ。弱者が強者で強者が弱者って、もう訳わかんないのだ!」
でぇじょうぶ博士
「ふむふむ、これは市川沙央さんという芥川賞作家と、障害者の歴史研究者の荒井裕樹さんの往復書簡でやんすね。」
やきう
「往復書簡て。令和やで?メールでええやろ。」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、手紙というのは思想を練り上げる大切な媒体でやんす。市川さんは重度障害のある当事者作家として、『ハンチバック』という作品で芥川賞を受賞したでやんす。」
ずん
「ハンチバックって背骨が曲がってるってことなのだ?なんかカッコいい響きなのだ!」
やきう
「お前な、そういうとこやぞ。カッコいいとか言うてる場合ちゃうやろ。」
でぇじょうぶ博士
「市川さんは『読書バリアフリー』という概念を広めることに尽力されたでやんす。つまり、障害があっても本を読める環境を作ろうという運動でやんすね。」
ずん
「へー。でもボク、本読むの面倒だから電子書籍でいいのだ。」
やきう
「それお前が怠け者なだけやん。障害ある人は物理的に本が読めへんねん。」
でぇじょうぶ博士
「その通りでやんす。海老原宏美さんという先駆者がいて、市川さんはその言葉を継いだでやんすね。まるでリレーのバトンのように、大切な思想が受け継がれていくでやんす。」
ずん
「なるほどなのだ。でも『弱者であり強者』ってどういうことなのだ?ボクは常に弱者なのだ!」
やきう
「お前は弱者のフリした怠け者やろ。全然ちゃうわ。」
でぇじょうぶ博士
「これは相対性の話でやんす。例えば、障害者は身体的には弱者かもしれないでやんすが、その経験から得た洞察では強者になれるでやんす。逆に健常者は身体的には強者でも、他者の痛みを理解する点では弱者かもしれないでやんす。」
ずん
「むむむ...難しいのだ。じゃあボクは何者なのだ?」
やきう
「お前は永遠の『楽したい者』や。カテゴリー不明や。」
でぇじょうぶ博士
「出版業界の5団体が共同声明を出したというのも画期的でやんす。普段は利害が対立しがちな業界団体が手を組むというのは、まるで犬猿の仲だった戦国武将が同盟を結ぶようなものでやんす。」
ずん
「へー。でもそんな声明出して、実際何が変わるのだ?」
やきう
「お前ほんま現実主義者やな。でも鋭いで。声明だけで世界は変わらんからな。」
でぇじょうぶ博士
「確かに声明だけでは不十分でやんすが、これは大きな一歩でやんす。出版界が『読書は特権階級だけのものではない』と宣言したようなものでやんすからね。」
ずん
「特権階級...ボクもエリートだから読書特権階級なのだ!」
やきう
「お前、さっき本読むの面倒言うてたやんけ。」
でぇじょうぶ博士
「市川さんが『通俗道徳に抗する破壊的な物語』と自作を評しているのが興味深いでやんす。つまり、きれいごとではない、リアルな障害者像を描いたということでやんすね。」
やきう
「お前が破壊しとるのは自分の未来だけやろ。」
でぇじょうぶ博士
「往復書簡という形式も意味深でやんす。SNSのような即座のやりとりではなく、じっくり考えて言葉を紡ぐ。それは相手を尊重し、対話を大切にする姿勢の表れでやんすね。」
ずん
「なるほどなのだ。でも結局、この『相対性』って何が言いたいのだ?」
やきう
「お前ほんま理解力ゼロやな。要するに立場によって強い弱いは変わるってことやろ。」
でぇじょうぶ博士
「そうでやんす。誰もが何かの弱者であり、何かの強者でやんす。健常者は移動では強者かもしれないでやんすが、障害者の気持ちを理解する点では弱者でやんす。逆もまた然りでやんす。」
やきう
「お前は怠惰においては最強や。努力においては最弱や。」
でぇじょうぶ博士
「この相対性を自覚することが、相互理解の第一歩だと市川さんは訴えているでやんす。自分が常に正しいと思い込むことこそ、最大の傲慢でやんすからね。」
ずん
「なるほどなのだ...。じゃあボクも誰かの強者になれる可能性があるってことなのだ?」
でぇじょうぶ博士
「いやいや、ずんにだって可能性はあるでやんす。例えば、ずんの『何もしない才能』は、過労死寸前のサラリーマンには学ぶべき強さかもしれないでやんす。」
ずん
「おお!ボクにも価値があったのだ!やっぱりボクは選ばれし者なのだ!」
ずん
「よし、これからボクは『怠惰バリアフリー』を推進するのだ!働きたくない人が働かなくていい社会を目指すのだ!」